1、改正及び創設の経緯
保険契約については、下記参考図のとおり、契約者(保険料負担者)、被保険者、保険受取人により、課税関係が決まります。
これまでも税務署は保険会社から提出された生命保険契約等に関する一時金の支払調書により保険契約の内容について一定の情報を把握していましたが、情報不足により課税漏れが発生していました。
平成30年1月1日以降の改正及び創設された調書により税務署が把握できる情報が多くなり、申告漏れをより確実にチェックすることができるようになりました。
(参考)生命保険契約の課税関係
(1)保険事故が発生していない保険契約に係る相続税の申告漏れのチェック
相続開始時点において相続財産として計上しなければならない解約返戻金相当額があるかどうか。
(2)保険料負担者(契約者)を変更した保険契約について課税関係に誤りがないかのチェック
(例)
①被保険者が父、保険受取人が子である契約において、保険料負担者を父から子に変更した後、父の相続により保険金を取得した場合
・保険金のうち、父が負担した保険料に相当する部分→相続税の対象となっているか。
・保険金のうち、子が負担した保険料に相当する部分→所得税の対象となっているか。
一時所得より控除しているのは、子が負担した保険料のみかどうか。
②被保険者が母、保険受取人が子である契約において、保険料負担者を父から子に変更した後、満期により保険金を取得した場合
・保険金のうち、父が負担した保険料に相当する部分→贈与税の対象となっているか。
・保険金のうち、子が負担した保険料に相当する部分→所得税の対象となっているか。
一時所得より控除しているのは、子が負担した保険料のみかどうか。
2、改正により調書に記載される内容(下線箇所:改正により追加・創設された部分)
(1)保険金の支払いを受ける場合
①受取人の氏名・住所・個人番号
②保険金額等
③保険料総額
④保険金の確定支払日
⑤現契約者の氏名・住所・個人番号
⑥契約者変更が行われた場合
・契約者の変更前の契約者の氏名
・住所・現契約者の既払込保険料額
・契約者の変更が行われた回数
(2)死亡による契約者変更の場合
※解約返戻金相当額が100万円以下である生命保険契約又は損害保険契約他を除きます。
①変更後の契約者の氏名・住所
②変更前の契約者の氏名・住所
③変更前の契約者の死亡日
④その変更の効力が生じた日
⑤上記③又は②のいずれかの日におけるその変更に係る契約の解約返戻金相当額
⑥保険料の総額及び変更前の契約者が払い込んだ既払込保険料
⑦その他参考となるべき事項
(提供:チェスターNEWS)