先日公表された財産評価基本通達の一部改正では、平成29年税制改正で注目度が高かった広大地評価の通達改正と合わせまして、「株式保有特定会社の判定基準」についても見直しが行われています。
株式保有特定会社の判定基準についての通達改正は、取引相場のない株式の相続税評価を行う際の評価方法を決める判定基準に影響を与えることになります。
株式保有特定会社の判定を行う際に、現行の「株式及び出資」に加えて、社債のうち、新株予約権(株式会社に行使することにより当該株式会社の株式の交付を受ける権利)が付された社債(新株予約権付社債)を加えて、評価会社の有する相続税評価額ベースの各資産価の合計額に占める、「株式及び出資+新株予約権付社債」の相続税評価額ベースの合計額の割合が50%以上であるかどうかにより、株式保有特定会社の判定を行うことになります。通常の社債などはこれまで通り含まれないこととなり、適用開始時期は広大地評価の改正と同じく、平成30年1月1日以後の相続又は贈与から適用されます。
株式保有特定会社に該当してしまうと、原則として純資産価額方式により評価会社の株式の相続税評価額を算出するようになるため、「新株予約権付社債」は株式に転換することは出来ますが、転換するまでの間は「社債」であることから「株式及び出資」に当たらないといういわゆる株式保有特定会社外しに用いられて来た側面から今回の通達改正となった拝啓があります。
では、株式保有特定会社に該当した場合には、どのように評価会社の株式の相続税評価額を算出するのでしょうか。
原則としては上記のとおり純資産価額方式が用いられることになりますが、納税義務者の選択により「S1+S2方式」により評価することも可能です。
「S1+S2方式」は、評価額の算出上一般的には有利なケースが多い類似業種比準方式を部分的に取り入れて評価を行う方法で、評価方法の名称通り下記の、株式保有特定会社しての評価額(S2)に、有している株式等の部分を除外した部分を一般の事業会社としての評価額(S1)を足して評価する方法となります。
S1=株式保有特定会社が有する株式等及びその株式等の受取配当等がないものとして、原則的評価方法により評価した価額
S2=S1で除外した株式等について、純資産価額方式により評価した価額
この「株式等」の範囲に「新株予約権付社債」も含まれ、「受取配当等」には「新株予約権付社債と利息収入」も含んで評価額の算出を行うこととなります。
(提供:チェスターNEWS)