平成29年11月、国税庁は「平成28事務年度における相続税の調査の状況について」を公表しました。
1、実地調査件数及び申告漏れ等の非違件数
相続税の実地調査の件数は12,116件、このうち申告に非違があった件数は9,930件(非違割合82.0%)と公表されています。前年の実地調査の件数11,935件、非違があった件数9,761件(非違割合81.8%)と件数・非違件数・非違割合ともに前年度よりも上昇する結果となりました。
2、無申告事案に係る調査事績
相続税の無申告に係る調査については、過去4年間、調査件数は減少しておりましたが、平成28事務年度は、一転増加しました。非違割合については、年々上昇しており、税務当局が無申告事案の把握に努め、課税強化を進めていることが読み取れます。
3、贈与税に係る調査事績
相続税の補完税である贈与税の調査については、件数自体の変動はあまりありませんが、平成28事務年度の申告漏れ課税価格は前年度の約10倍の結果となりました。これは、個別の案件によるところの影響が大きいと思われます。非違割合については、年々上昇しており、税務調査が行われた場合、9割以上の割合で申告漏れ等の非違が指摘されています。裏を返せば、納税者の申告に不備があることを税務当局が把握してから、調査が行われていると推測できます。
4、今後の見通し
相続税調査・贈与税調査について、税務当局は資産保有状況や資産の移動状況などの情報を生前から蓄積し、非違を見極めた的確な調査を実施しています。今後も税務調査の非違割合が上昇していくと推測されます。税務調査が実施されないために、納税者も申告納税制度を理解し、申告と納税を自ら適正に行う必要があります。
(提供:チェスターNEWS)