平成29年度の税制改正により、非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の規定が一部見直されました。この改正により納税猶予の適用を受けられる方の負担が軽減されることとなります。
中小企業(非上場会社)の後継者が、都道府県知事から認定を受けた当該会社の株式を先代経営者から贈与により取得した際、その株式にかかる贈与税のうち一部について納税猶予を受けることができます。
贈与税の納税猶予を受けるためには複数の要件を満たす必要がありますが、こちらでは平成29年度の税制改正点について以下簡単にご説明いたします。
①相続時精算課税の適用が可能になりました
納税猶予を受ける贈与税の計算にあたって、通常の暦年課税のほか相続時精算課税の適用もできるようになりました。
相続時精算課税を適用する場合、2,500万円の特別控除があり、その控除額を超えた金額に対しては一律20%の税率で贈与税額を算出することとなります。 ただし、一旦相続時精算課税の適用を受けた場合、後に暦年課税に戻ることはできません。
②雇用確保要件の計算方法が見直されました
贈与税の納税猶予を受けた場合には、申告期限から5年間は、贈与時の雇用の8割を維持する必要があります。
この贈与時の雇用の8割の計算方法が見直され、計算後の数に1人未満の端数がある場合、改正前は切り上げた数でありましたが、改正後は切り捨てた数となりました。 これにより、特に雇用が少ない会社での負担が緩和されました。
以上、非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の改正点について簡単にご説明いたしましたが、改正の流れとしては緩和の方向にあります。生前に次代へ円滑な事業の引継ぎを行うためにも、当該納税猶予の適用をご検討されてはいかかでしょうか。
(提供:チェスターNEWS)