個人で不動産を所有している場合、家賃収入には所得税がかかります。しかし、節税対策をすることで、所得税を減らし手元資金を増やすことが可能です。

不動産投資を始めたなら青色申告がおすすめ

tax
(写真=one photo/Shutterstock.com)

不動産を所有し家賃収入が発生している場合、毎年確定申告をして決算書を税務署に提出する必要があります。提出する決算書には「白色申告」と「青色申告」があり、「青色申告」がおすすめです。

青色申告は、いくつかの手続きが必要になる代わりに、さまざまな優遇が受けられる制度です。手続きを何もしなければ自動的に白色申告になります。青色申告を選択するためには期限内に届出をする必要があるので、不動産投資を始めたらすぐに手続きするようにしましょう。

青色申告を選ぶメリットは、青色申告特別控除を受けられることです。青色申告特別控除とは、不動産事業の規模に応じて10万円または65万円を控除した上で所得税が課税されるという事業者にとって大変有利な制度です。この他にも、赤字になった年の損失額をその後3年以内の利益と相殺することができるといった優遇もあります。

青色申告を適用するための手続きは、「青色申告承認申請」を税務署に提出することです。提出期限は新しく事業を始めてから2か月以内なので、早めに手続きをしましょう。また、青色申告を適用するためには複式簿記による記帳をする必要があります。賃貸借契約書や入金通帳、不動産事業のための領収書などをまとめておき、年末に税理士に記帳を依頼しましょう。

不動産事業の経費計上のポイント

不動産事業を始めて家賃収入が入ってきても、経費については特に意識していない方がほとんどです。しかし、経費がないと収入に対してそのまま所得税がかかってしまい、翌年の4月に高額な所得税が引き落とされることになりかねません。

不動産事業を始めたなら、何が経費になるかをきちんと把握し、領収書を保管するなど日ごろから対策をしておきましょう。以下のようなものは一般的に不動産事業の経費として認められます。

・不動産投資のための書籍の購入代やセミナー参加費
・不動産業者への手土産代
・不動産投資に関する打合せにかかった飲食費
・物件を見て回ったときのガソリン代・駐車場代・高速代
・修繕費
・固定資産税
・火災保険料
・管理会社に支払う手数料
・司法書士や税理士への報酬
・借入返済がある場合の支払利息

経費にするときは、日付や金額・内容が確認できる書類を保管しておきましょう。飲食費については、誰とどんな内容の打合せをしたかを領収書に記載しておく必要があります。税務署に提出するのは完成した決算書だけですが、もし税務調査が入っても調査官に提出できるよう、根拠書類はきちんと保管しておくことが大切です。

修繕費について、大規模な改修をした場合は一括で経費にできないことがあります。「窓ガラスにひびが入ったので取り換えた」「雨漏りを修理した」などの原状回復費用であれば、一般的に修繕費として認められます。

しかし、「階段を付け加えた」「和式トイレを洋式トイレにした」といった新しく機能が付け加わる工事については、数年に渡って分割で経費にしていくことになります。年末に節税のために工事をしたのに、結局経費にできなかったといったことにならないよう、工事の内容はしっかり確認しましょう。

事業が大きくなれば資産管理会社を設立する

家賃収入が高額になるなら、資産管理会社を設立するのも効果的な節税方法です。個人で不動産を所有している場合、いくら経費を計上して利益を減らしたとしても、高い所得税がかかってしまいます。

資産管理会社を設立し、不動産を会社所有にすることで、法人税が適用されます。法人税率は所得税率と比較して低いため、税率差の分だけ毎年節税になります。所得税の負担が重く感じるようになったら、思い切って資産管理会社を設立するのも一つです。(文・木崎 涼 医療機関専門のファイナンシャル・プランナー、M&Aシニアエキスパート) / d.folio