借金に抵抗を感じる人は少なくないだろう。しかし、賢く借りれば「長期的にはお金を増やせる」こともある。借金を「負債」と考えるか、「お金を運用するためのツール」と考えるかで、結果に違いが生まれる。長期的な投資として「お金を増やしてくれる良い借金」とはどのようなものだろうか。
(1)自分への投資
大学費用やキャリアアップ、スキルアップのための資格取得費用は、後に高い給与の就職先や年収アップというリターンが期待できる「自分への投資」だ。MBA(経営学修士)や専門的知識・技術を取得した人材を求める企業は年々増えており、一般の雇用者より高待遇である傾向が強い。
日本にいながら国外の一流経営大学のMBAコースや専門分野のコースを受講することも可能な時代だ。「給与の高い企業に就職したい」「もっと給与が欲しい」と考えているなら、借金をしてでも受講する価値があるかも知れない。
(2)金融商品の購入
株・債券・投資信託・不動産などへの投資は短期的・長期的にお金を増やす手段だが、借りたお金を投資する場合、確実にリターンが期待できる商品を選ぶことが重要だ。投資に失敗して自己資金だけではなく借りたお金まで失ってしまっては、借金が増えてしまう。
損失のリスクを最小限に抑えるためには、低リスク・中リターンの商品を選ぶと良いだろう。リスクを恐れるあまりリターンが低すぎるものを選ぶと、せっかく利益が出てもそのまま借金の返済に流れかねない。とはいえ、高リターンを追求すると損失の可能性も大きくなる。バランスを見極めた、慎重な投資戦略が必須である。
(3)ビジネスへの投資
事業を立ち上げる、あるいは事業を拡大するための借金は、将来的に大きな利益が期待できる投資である。ただし、利益につながるビジネスモデルと確固たる返済プランがあることが条件だ。
将来性のあるスタートアップなどの事業に投資する場合も、第一印象や事業アイデアだけで判断せず、投資先の情報を収集・分析して企業価値を見極めることが重要だ。
(4)不動産投資
不動産投資にはまとまった資金やノウハウ、知識などが必須となるため「難しい」と思われがちだが、これらのハードルを超えれば大きなリターンを狙える可能性が高い。
例えば自己資金プラス借入金で購入した投資用マンションで家賃収入を得て、安定した収入の中から借金を返済する。完済後はすべて自分の収入になる。起動に乗れば、徐々に物件を増やしてさらにお金を増やすことも可能だ。
(5)高金利のローンの返済
金利が高いクレジットカードやローンを利用している場合、より低金利のカードやローンに借り換えることで、毎月の返済額を減らしたり返済期間を短くしたりできる。例えば100万円を金利18%、借入期間3年で借りている場合、利息だけで30万1,468円を支払うことになる。しかし金利が12%に下がると利息は19万5,696円、10%に下がると16万1,599円になる。
この差額で返済額を増やして完済する、あるいは投資や貯蓄に回すなど、お金を増やす手段として利用できる。
「良い借金」の注意点
しかし「良い借金」だからといって、確実にお金が増えると保証されているわけではない。教育や資格、金融商品、不動産に投資する場合、どのような分野や商品、物件、エリアなどが効率的に利益を生む可能性があり、どのようなものが損失を出す可能性があるのか、しっかりと調べる必要がある。
また、たとえ「絶対に勝算がある」と確信して投資しても、予想通りに物事が進むという保証もない。そうなった時に切り抜ける手段として、借りたお金を少し残しておくなどの対策をしておくべきだろう。
ローンの借り換えに関しても、結果的には返済総額が高くなる場合もあるため、毎月の返済額や金利のみに気をとられるのではなく、支払い回数や手数料などにも注意すべきだ。
文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/MONEY TIMES
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