株式投資の魅力の一つである株主優待。中でも飛行機の搭乗優待が受けられるANAホールディングス <9202> と日本航空(JAL) <9201> は、旅行好きなら気になるのではないだろか。今回は株初心者に向けて、どうしたら優待を受けられるのか、その内容を比較し、どちらがおトクなのか確かめてみよう。
最初のステップは銘柄選定と最低投資額の見積もりから
数ある株主優待銘柄の中から最初の一つを選ぶのに、ANAまたはJALは無難な選択だと言える。どちらも業績が好調で、優待内容もビジネスや旅行のコストダウンに直結するものだからだ。
どちらの銘柄も株主優待の権利を得るには、毎年3月31日ならびに9月30日現在の株主名簿に記録された株主でなければならない。つまり、それぞれの基準日から起算して4営業日前(権利付最終日)までに単位株である100株以上を購入すればよい。
次回の株主優待の権利付最終日は2019年3月26日である。それまでに、自分に合った優待内容をじっくり見極めてから、目的の銘柄を購入するとよいだろう。
参考までに、単位株購入に必要な最低投資額(2018年10月24日終値基準)は以下の通り。
ANA……3,615円×100株=36万1,500円
JAL……3,826円×100株=38万2,600円
ANAとJAL、主な優待内容は片道運賃割引券とツアー等の割引券
ANAとJALの株主優待はどちらも、片道運賃割引券とグループ内で使用できる割引券の発行という点では共通している。ただし、運賃の割引方法や割引券を使用できる範囲、株主向けに提供されるイベントなどに違いがあるので確認しておきたい。
ANA――日程によって異なる株主優待運賃や国内ホテル割引券など
保有株式数と保有年数に応じた枚数分だけ「株主優待番号ご案内書」が発行される。これがあれば、大人・小児問わず、1枚ごと日程の異なる運賃が設定された国内線片道株主優待割引運賃/プレミアム株主優待割引運賃で ANAの飛行機に搭乗することが可能だ。普通席優待運賃では区間基本マイルの75%、プレミアムクラスだと125%のマイルが付与される点も見逃せない。
また、ANAグループの国内ホテルや国内外パッケージツアー・ゴルフ場・空港内売店で利用できる割引券の冊子も発行される。国内外パッケージツアーの割引券は、1枚で幼児以外の5名まで何泊でも7%割引になる。9月30日現在の株主には翌年のカレンダーも送付される。100株以上保有する株主であれば株主専用サイトを利用でき、ANA機体工場見学会への参加や株主向けツアー割引商品の予約、通販商品の株主向け特別価格での購入が可能だ。
JAL―― 一律50%割引になる株主割引券
JALの株主割引券も、所有株式数と所有年数に応じて発行される。国内線の大人・小児が対象で、片道運賃が一律50%割引となり、普通席で75%、クラスJで85%、ファーストクラスで125%の区間マイルを積算できる。
7%割引の国内外ツアー割引券も付与される。こちらは3月の基準日に100株~199株を保有する株主に対しては年1回、国内ツアー向けに2枚、国外ツアー向けに2枚の計4枚が発行。200株以上保有していると、国内外ツアー割引券4枚が3月・9月の基準日で年2回計8枚発行される。割引券1枚で、幼児を除く参加者全員のツアー代金が割引になる。また、株主向け特別企画も用意されており、非常救難訓練センター見学会やJAL工場見学に応募することができる。
優待内容の大きな違いは割引運賃の割引方法と発行枚数
ANAとJALの優待内容を比較すると、大きな違いは国内線片道運賃の割引率と発行枚数にある。
株主優待割引運賃に関しては、ANAでは各路線ともあらかじめ日程によって株主優待運賃が設定されているため、通常料金からの割引率が見えにくい。それに対して、JALは国内線の片道運賃が全て50%割引となっている。
一方、発行枚数も両社には違いがある。ANAの優待割当枚数は1回につき100株保有で1枚、200株で2枚、300株で3枚、400株で4枚、それ以上は200株増えるごとに1枚追加され、1,000株で7枚と定められており、保有株式数に関わらず年2回発行される。JALでは100株保有だと3月の基準日で1枚(年1回)、200株以上保有で年2回発行となり、200株で年2枚、300株で年3枚、100株増えるごとに年間1枚ずつ追加される。
保有株式数に応じておトクな銘柄を選ぼう
株式投資初心者であれば、株主優待の権利を得るために、まずは単位株の100株を購入する人が多いだろう。その場合には、3月の基準日で年1回しか発行されないJALに対して、年2回「株主優待ご案内書」とANAグループで使用できる割引券の冊子が発行されるANAの方がおトク感があると言える。
200株や300株の購入を検討しているならば、両社とも年2回株主優待を受けられる。運賃割引の年間発行枚数はANAがそれぞれ4枚と6枚、JALだと2枚と3枚だ。割引方法が違うので、搭乗する可能性のある時期の各社の割引運賃を見積もってより割引率の高いほうを選ぶのがよいだろう。国内外ツアー割引だけでなく、ホテルやゴルフ場・空港内売店での割引も期待するならANA、国内外ツアー割引だけでよければJALという選び方もできる。
株主優待も期待してANAかJAL、どちらの株を購入するか迷っているのであれば、よく行く旅先や、自分の旅行のスタイルなども考えて決めるのがよいだろう。
文・近藤真理(フリーライター)/MONEY TIMES
【関連記事】
ビギナー必見、投資・積立できるクレジットカード5選
つみたてNISA、金融機関はどこにすればいい? 4つのポイントから証券会社を選ぶ
40代が今さら聞けない「投資信託」の始め方
「アドバイスをもらいたい」人のためのロボアド「投資助言型」13種を比較
審査に通りやすいクレジットカードを見つける3つのポイント