●起き抜けには、「コップ1杯の水」を

便を溜めこまず、腸をよい状態に保つためには、朝コップ1杯の水を飲むことが大切だ。胃腸の蠕動運動を促し、自然な便意を誘発することができる。また、水を飲むことで、副交感神経優位な状態から交感神経優位な状態にスムーズに切り替えることもできる。身体のモードを切り替えるスイッチとしてもお勧めだ。

●お酒を飲むときは「同量の水」を

深酒すると、体内に分解しきれなかったアルコールが長時間残り続ける。これを分解・解毒するために体内の水分が使われるので、身体は脱水状態になる。すると、血液濃度が高まり、ドロドロとした血液が血管の内皮を傷つける。そうなる前に、お酒と同量の水を飲んでおけば、脱水状態が軽くなり、血管のダメージも防ぐことができる。

●エレベーター、エスカレーターは使わない

交感神経が優位になる日中を活動的に過ごすと、その反動で夜には副交感神経が優位になり、リラックスできる。そのためには、日中の運動量を増やそう。まずはエレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使うことから習慣化すべき。激しい運動をしなくても、これだけで運動量は十分増えるはずだ。電車やバスの中で座らないこともお勧め。

●暑くても必ず湯船に

忙しいとシャワーだけで済ませがちだが、疲れているときこそ湯船につかるべき。入浴の一番の目的は、滞った血流を促進し、身体の深部体温を上げて、睡眠の質を高めること。ただ、熱すぎると交感神経が急激に上がり、血管が収縮して血液がドロドロになるので逆効果。39~40℃のお湯に15分ほどつかり、湯上がりにはコップ1杯の水を飲もう。

●3行日記を手書きでつける

就寝前に、「今日失敗したこと」「今日一番感動したこと」「明日の目標」を書き出す3行日記をつけよう。コツはノートに手で書くこと。手書きは、心を落ち着かせる効果があるからだ。また、今日を振り返りながら明日への目標も書くことで、余計な不安や心配が減り、心に余裕が生まれるという効果も期待できる。

●積極的に「ため息」をつく

ため息は、心配事や不安を抱えているときにつくネガティブなイメージがある。しかし、実は呼吸が浅くなり、酸素が不足した身体が危険を察知し起こすリカバリー作業。「はぁ~」とゆっくり息を吐くことで、全身の細胞や臓器に酸素を取り込む準備ができるのだ。その反動で思いっきり酸素を吸いこむことで、リラックスすることができる。

●空を見上げる

常にうつむきがちな人は、気道が圧迫されて、呼吸も浅くなりがち。すると、自律神経のバランスが乱れて余計に気分が落ち込んでしまう。加えて、血流が滞ることで肩や首のこり、腰痛なども誘発する。そこで、たびたび空を見上げてみよう。そうすることで気道がまっすぐになって酸素の吸収量が増し、副交感神経が優位に働く。

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)順天堂大学医学部教授
1960年、埼玉県生まれ。92年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程を修了後、ロンドン大学附属英国王立小児病院外科などの勤務を経て帰国。順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任後、現職。自律神経研究の第一人者としてアスリートや芸能人のアドバイザーを務めるほか、TV出演などメディアでも活躍中。著書に、『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『一流の人をつくる整える習慣』(KADOKAWA)など多数。《取材構成:吉川ゆこ》(『THE21オンライン』2018年6月号より)

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