毎月の給与明細を見てみると、総支給額から厚生年金や雇用保険、健康保険などが差し引かれて手取り額が決まっていることがわかります。中でも、自営業者などが加入する国民年金は未納の人もいるという話をニュースで聞き、厚生年金保険は強制的に払わなければならないし、金額も高いし、不公平だと思っている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は厚生年金保険が国民年金と比べてどれだけお得かをご紹介します。

これだけ違う!老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給額の違い

厚生年金,国民年金
(画像=Africa Studio/Shutterstock.com)

支払額

国民年金加入者がみんな同じ保険料を払うのに対し、厚生年金保険では、収入によって保険料が変わります。

具体的に、2018年度の国民年金の保険料は1万6,340円ですが、厚生年金保険は収入によって1万6,104円〜11万3,460円まで幅があります。

しかし、厚生年金保険では保険料を会社が半分負担するので、会社員の負担は上記の額の半分の8,052円〜5万6,730円になります。一例をあげると、月給(標準報酬月額)が20万円の人で保険料は1万8,300円です。ただし、ボーナスからも額に応じて保険料を払う必要があります。

受給額

一方、受給額ですが、国民年金から支払われる老齢基礎年金の額は、2018年度では月額6万4,941円でした。

厚生年金保険から支払われる老齢厚生年金の受給額は、上で述べた通り、納めてきた保険料によって大きく変わるのですが、平均的な年収の会社員の場合、月額15万6,336円と発表されています。

障害が残った時、どれだけ保障があるか

国民年金や厚生年金保険というと、どうしても将来の年金額にばかり目が行ってしまいますが、実はこれらの公的年金では老後の年金のほか、障害が残った時の障害年金、また万が一のことがあった場合の遺族年金も支給されます。

国民年金から支給される障害基礎年金は、2018年度では障害等級1級で年額97万4,125円、2級では77万9,300円となっていて、この額プラス、子供がいる場合は子供の数×22万4,300円(ただし3人目からは7万4,800円)加算されます。

障害厚生年金の支給額も老齢厚生年金と同じく、これまで納めてきた保険料によって変わります。2016年度の実績でいうと、障害基礎年金の受給額の平均が7万2,453円なのに対し、障害厚生年金の受給額の平均は10万2,398円と約3万円近く多くなっていました。

さらに、障害基礎年金は障害等級1級か2級と判定されないと支給されませんが、障害厚生年金は3級まで支給され、加えて障害年金の支給に該当しない程度の障害であっても、障害手当金という一時金が支給される場合があります。

万が一の時の遺族年金は父母や祖父母も対象に

次に、被保険者に万が一のことがあった時の遺族年金です。国民年金から支給されるのが遺族基礎年金、厚生年金保険から支給されるのが遺族厚生年金と呼ばれます。

これらの遺族年金では受給額も当然違うのですが、もっとも大きい違いは受給できる遺族の範囲です。

遺族基礎年金を受給できる遺族の範囲は、『死亡した人に生計を維持されていた子または子のある配偶者』となっています。つまり、子供がいないと支払われることはありません。

一方、遺族厚生年金を受給できる遺族は、『死亡した人に生計を維持されていた①妻・夫・子、② 父母、③孫、④祖父母』となっています。

夫・父母・祖父母の年齢が55歳以上であったりと、年齢の条件はあるのですが、遺族年金は子供がいないと支給されないと思っている人もいるので、父母にも支給されることがあると知って意外に思う人も多いのではないでしょうか。

厚生年金保険は保険料のわりに保障が大きい

厚生年金保険と国民年金を比較してご紹介しましたが、厚生年金保険は保険料の半分を会社が払ってくれますし、障害年金や遺族年金は支給される範囲も広く、国民年金に比べて保険料が掛け捨てになることも少ない制度です。せっかく保険料を払っているのですから、どんな時にどれぐらい保障を受けられるのか、知っておきましょう。

文・松岡紀史(ライツワードFP事務所代表・ファイナンシャルプランナー)/ fuelle

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