「忙しいし、ふるさと納税は年末にまとめて……」そんな人もいるだろう。だが12月はその年のふるさと納税の申し込みの締め切り月で、申請件数が増える分、決済の遅れ、返礼品の品切れなど、さまざまなトラブル発生も予測される。年末駆け込み納付でありがちな失敗とは、どのようなものか。
「決済が間に合わない」「申請で二度手間」……
まず忘れてはいけないのは、ふるさと納税は「納税」であり「減税」ではないということだ。所得税の還付(控除)や居住地自治体からの住民税の控除で税金が安くなったように思えるが、実際は他の自治体に税金を先に支払っているだけのことだ。豪華な返礼品がもらえて一見おトクに思えるふるさと納税であるが、12月に駆け込みでふるさと納税を行う時にやってしまいがちな失敗がいくつかある。
それが「年内決済が間に合わない」「ワンストップ特例制度の申請ミス」「返礼品が留守中に届いてしまう」という3つだ。
ありがちな失敗1 年内決済が間に合わない
「ふるさと納税は12月31日までに申し込めば、その年の税金が控除対象になるから大丈夫」と思っているなら間違いだ。「申し込み」と「決済」は違う。ふるさと納税は「申し込み」ではなく、「決済」(=入金)が行われていないと寄付をしたことにならない。決済が12月31日以降になった場合、今年ではなく翌年分の控除対象となる。ならば12月31日の年越しの瞬間までに決済をすればよいかというとそうではない。入金締切日は納付方法によって異なり、全国一律でもないのだ。
例えば、黒毛和牛や高級フルーツの返礼品で例年人気の大阪府泉佐野市の場合、
・窓口に直接持参もしくは現金書留で郵送の場合は12月27日15時まで
・郵便振替の場合は12月28日まで
・クレジットカード決済の場合は12月31日まで
と、同じ自治体でも納付方法によって入金締切日が異なる。また宮崎牛の返礼品で人気がある宮崎県都城市と、四万温泉で利用できる感謝券が好評の群馬県中之条市を比較してみると、
・宮崎県都城市 郵便振替の場合は銀行と郵便局の年内営業日まで、クレジットカード決済の場合は12月31日23時59分まで
・群馬県中之条市 郵便振替の場合は12月28日まで、クレジットカード決済は12月31日23時59分まで
と、各自治体によって決済期限は異なる。申し込みをする前に納期限は必ず確認しよう。2015年には大晦日に駆け込みのふるさと納税が集中し、yahoo公金払いのサーバーがダウンして、4,000人が決済できなかったという例もある。年越しの瞬間ぎりぎりに行うのではなく、余裕をもった決済を心がけたい。
ありがちな失敗2 ワンストップ特例制度の申請ミス
ふるさと納税は「ワンストップ特例制度」を利用すれば、確定申告をしなくてよい。忙しいビジネスパーソンにはうれしいシステムだ。
この特例を利用するには、ワンストップ特例制度の申請書と「マイナンバーおよび本人を確認できる書類の写し」を、ふるさと納税を行った先の自治体に送付する必要がある。期限は寄付した翌年1月10日まで。
ワンストップ特例制度を選択したが、年末年始の忙しさに追われて申請書を1月10日までに送付し忘れてしまうと、せっかくの特例制度も適用されなくなってしまう。その場合、ふるさと納税分の還付・控除を受けるためには確定申告が必要となってくる。
また、ワンストップ特例制度は確定申告をしない人に適用される制度だということも覚えておきたい。医療費など各種控除を受けるために確定申告をした場合は、確定申告が優先される。還付・控除額が減るということはないが、ワンストップ特例制度と確定申告で二重に作業が発生してしまう。手間を省くために利用したつもりが二度手間……といったことがないように注意しよう。
ありがちな失敗3 返礼品が留守中に届いてしまう
国産和牛、シャインマスカットなど魅力的な各地の特産品がそろうふるさと納税。単純だがやってしまいがちなのが、年末年始の帰省中に「生鮮食品の返礼品が届いた」という失敗だ。目当ての返礼品の「申し込み」と「決済」が完了したとして、それが自分の希望通りの日に届くとは限らない。
最近では「12月○日までにふるさと納税の決済をすれば年内発送」と案内をする自治体もあるので、自宅を長く留守にする場合は、自治体のホームページをよく確認しておきたい。また「ふるさとチョイス」や「ふるぽ」など、ふるさと納税の決済でポイントを付与し、後に希望の返礼品を選択できるような仕組みのあるポータルサイトもある。旅行や帰省で家を長期間空ける予定がある場合は、これらを活用するのも一つの手段だ。
慌ただしい年末は避けて、計画的な寄付を
自治体によっては、申し込みが多い12月以外にイベントやキャンペーンを行う場合もある。ふるさと納税で失敗しないためには、何かと慌ただしい年末は避けるべきだろう。寄付が12月になってしまった時も、上記のような失敗をしないように気を付け、上手に制度を活用していきたい。
文・木暮ゆい(フリーライター)/MONEY TIMES
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