「老後なんて、まだまだ先」と思いつつも、将来年金がいくらもらえるのか気になるのが40代の本音だろう。年金をおおよそいくら受け取れるのか計算する方法がある。

老齢基礎年金、老齢厚生年金の受給要件は?

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(画像=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

2017年8月より、年金を受け取るために必要な保険料納付期間が見直された。老齢基礎年金は、これまでは20歳から60歳になるまでの40年間のうち25年以上保険料を納付する必要があったが、この納付期間が10年に短縮されたのだ。

老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給要件(保険料納付期間10年以上)を満たし、厚生年金保険に1ヵ月以上加入していれば、老齢基礎年金に上乗せして支給される。

なお、納付期間が10年間の場合、支給額は満額(納付期間40年間)の約4分の1になる。

納付期間が10年に満たない場合や少しでも納付期間を加算したい場合は、60歳から65歳になるまでの間に任意加入をして、満額の年金に近づけることもできる。

国民年金の計算方法――簡単に算出することが可能

国民年金受給額の計算方法は簡単だ。細かい条件を除くとこの式で分かる。

「老齢基礎年金の満額×保険料納付済月数÷480ヵ月」

老齢基礎年金の満額は、法律の規定により物価・賃金の変動に応じて年度ごとに年金額が改定される。2018年度は前年から据え置きの月額6万4,941円、年額では約77万9,300円となっている。

ここに、実際に保険料を納付した月数と最大加入月数(40年×12ヵ月=480ヵ月)に対する割合を掛け合わすことで受給年金額を計算できる。

例えば、納付期間が35年(420ヵ月)の場合、2018年度では年額が「77万9,300円×420ヵ月÷480ヵ月」となり約68万1,900円、月額にすると約5万6,800円支給されることになる。

厚生年金の計算方法――自分で算出するのは難しい

厚生年金の計算方法はいささか面倒で、(1)報酬比例年金額+(2)経過的加算+(3)給年金額を計算する必要がある。

計算式は、「平均標準報酬月額×(7.125/1,000)×2003年3月までの加入期間月数+平均標準報酬額×(5.481/1,000)×2003年4月以後の被保険者期間の月数」となる。

(2)は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額から、厚生年金保険の被保険者期間のうち1961年4月以降で20歳以上60歳未満の期間の老齢基礎年金相当額を算出し、定額部分から差し引いたものだ。

計算式は「1,625円×生年月日に応じた率×厚生年金保険の被保険者月数-77万9,300円×(1961年4月以降で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者月数/加入可能年数×12)となる。

(3)は、厚生年金保険と共済組合などの被保険者期間を合わせて20年以上ある人が、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その人に生計を維持されている配偶者や子がいる場合などに加算される。

例えば、65歳未満の配偶者や18歳になった年度の3月末までの間の第1子、第2子がいれば、それぞれ22万4,300円が加算される。

日本年金機構の「ねんきんネット」で見込額をチェック

日本年金機構が提供する「ねんきんネット」なら、パソコンやスマートフォンから年金記録の確認や将来の年金見込額を確認できる。利用には登録(IDの取得)と基礎年金番号、メールアドレスなどが必要だ。

また、毎年誕生月に国民年金や厚生年金保険の加入者に対し、年金加入記録を記載した「ねんきん定期便」が日本年金機構から送付される。ねんきんネットでは、この定期便と同一の内容を確認できるだけでなく、ダウンロード機能を使って年金記録の管理や保存ができるため活用したい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/MONEY TIMES

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