「Financial(ファイナンシャル)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた言葉、フィンンテック。日本以上に、海外の技術が進んでいることを知っている人も多いことでしょう。技術革新のおかげで、これまで金融機関がなかった地域でもお金の管理ややりとりができるようになり、キャッシュレス化すら実現しているのです。海外の最新フィンテック事情について、キャッシュレス化の事例を中心に紹介します。

「支付宝(アリペイ)」、「微信支付(ウィーチャットペイ)」、中国はキャッシュレスが当たり前に

世界のフィンテック
(画像=PIXTA)

まず、キャッシュレス化が大きく進んでいるのが中国です。中国のモバイル決済率は98%。日本のモバイル決済率が6%ということを考えると、その普及率に驚愕するしかありません。

中国では、スマートフォンの普及も日本以上に進んでいます。2017年時点でスマートフォンの使用率は約79%。一方、日本は59%しかありませんから、中国は日本よりも圧倒的に早く普及していることがわかります。このスマートフォンの普及がベースとなり、モバイル決済が進んでいると考えられています。

モバイル決済サービスは、中国国内で「支付宝(アリペイ)」と「微信支付(ウィーチャットペイ)」が激しく競い合っています。アリペイは、ECサイトを運営するアリババ社(阿里巴巴集団)のサービスで、中国国内ではシェアNo.1です。

一方、ウィーチャットペイは、WeChatというメッセンジャーアプリを展開するテンセント社の決済サービスです。WeChatは、日本でいうところのLINEに相当する、簡単にメッセージのやりとりができるアプリです。普段使っているアプリから、簡単に決済ができるというのが好評を得ています。

スウェーデン、エストニア、ヨーロッパでも進むキャッシュレス化

ヨーロッパでも、キャッシュレス化は着実に進んでいます。その中でも代表的なのが、スウェーデンとエストニアです。

スウェーデンは、クレジットカード決済や、主要銀行6行が共同開発したモバイル決済アプリ「Swish」の普及が進んでおり、現金使用率はわずか2%になっています。現金では交通機関を利用することができず、キャッシュレスの店が大半を占めているのです。

また、エストニアは、デビットカードの普及が進んでいます。デビットカードで決済した内容は、国民のデータベースにも保存され、銀行口座の入出金まで把握されています。さらにエストニアでは、家計簿まで自動で作成できてしまうというのです。また、税金も自動的に計算でき、納税の申告作業が不要になるところまでフィンテックが浸透しています。

ケニア人の生活を変えた!?モバイル送金サービス「M-PESA(エムペサ)」

中国、ヨーロッパだけでなく、アフリカでもキャッシュレス化は進んでいます。その中でもケニアでは、「M-PESA」というモバイル決済サービスが普及しています。

M-PESAは、携帯電話のSMS(メッセージ機能)を利用して送金ができるサービスです。今や公共料金の支払いや給料の受け取りまでM-PESAで行われ、それが普及した影響などもあり、ケニアのGDPの4割以上がモバイル上で成り立っているといわれています。

M-PESAのメリットは、これまで銀行口座を持てなかった貧困層の人々も利用できることです。都市部へ出稼ぎに出ている貧困層は、地元に残っている家族に仕送りをする手段に問題を抱えていました。現金を持って行くとなると、強盗に遭うリスク等がありましたが、M-PESAのおかげで簡単かつ安全に送金することができるようになったのです。

遅れをとる日本の「キャッシュレス化」

このように、世界を見渡してみるとキャッシュレス化が思いのほか進んでいることがわかります。日本では、現在でも現金決済が高い信頼とシェアを誇っていますが、海外ではキャッシュレスが当たり前になっている国もあるのです。

決済サービスをはじめ、お金をデジタル化している海外のほうが、フィンテックサービスが進化しやすいのかもしれません。フィンテック分野で取り残されないよう、日本が今後どのような取り組みをするのか期待したいところです。

(提供:フィデリティ投信