(本記事は、滝内恭敬氏の著書『GOSPA目標達成の心理学』サンライズパブリッシング、2018年4月16日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
継続できないのは間違ったモチベーションを使っているから
私は昔から3日坊主です。いや、3日も続かないかもしれません。「最初の勢いはいいものの続かない…」「3日坊主で終わってしまう…」などという声を他の方からもよく聞きます。
挙句の果てに、自分の努力が足りないせいだとか、気合と根性がないからだと自分を責め、より自信をなくしてしまうパターンが大半です。
この悪循環から抜け出しましょう。
継続できないのは、何も気合や根性といった精神論の話ではなく、間違ったモチベーションを使ってしまっていることに原因があるのです。
そもそもモチベーションと混同されやすい単語があります。それは、テンションです。
成功しようと思って、勢いよくテンションを高めてしまうのですが、テンションは空元気のことであり、一時的な気分の高揚で終わってしまいます。
もちろん、テンションが高い方がいいということも言われていますし、精神面の向上の部分でお伝えした通り、いい気分でいることは大切です。しかし、残念ながら、「テンションが高い=行動を生む」ということにはなりません。
例えば、テンションが高い状態とは女子校生が「きゃっ!これかわいい!」と、騒いでいる状態となんら変わりないわけですが、だからと言って彼女たちは勉強やバイトに熱心に取り組むという行動をとるでしょうか?
つまり、テンションとモチベーションはまったく異なるものなのです。
モチベーションとは、「motive(動機)」と「action(行動)」という単語から生まれており、行動の源という意味合いがあります。
そのために、テンションは何も行動を生みませんが、モチベーションが高い人は行動を生み出し、結果を変えることができるのです。
ですが、このモチベーションにも3つの種類があり、そのうちのたった1つしか大きな成果にはつながらないのです。その3つのモチベーションについて詳しくご説明しましょう。
(1)恐怖モチベーション
恐怖モチベーションというのは、その名の通り、何かに怯えて恐怖によって奮い立たされている状態のことです。
「明日からなぜ仕事に行くのですか?」と聞かれると、「だって、行かないと上司に怒られるし…」「行かないとお客様からクレームが出るし…」「毎月の支払いがあるし…」と、何かに追われているような答えをする人がいます。
厄介なことに、「そんなに嫌なら辞めたらいいんじゃない?」と言っても、「食べていけなくなるじゃないか!」と、お金を失う恐怖に怯えながら日々を生きているのです。
世の中の大半の人にとっての最大の恐怖は、お金を失う恐怖です。
「別にお金を稼がなくてもいいのなら辞めてしまいたい」そう思う仕事ならば、恐怖モチベーションの可能性が大です。
すでにおわかりかと思いますが、恐怖モチベーションでは確実に成功しません。たとえ、どれだけ我慢をし続けたとしても!
外部から与えられたモチベーションなので、ジェットコースターのように上がったり下がったりを繰り返し、最低限のことしかできない低いモチベーションのままです。
結局、自分の内面から生まれたものではないために持続せず、目標を達成するまでやり続けられないことの方が多いのです。
(2)報酬モチベーション
2つ目のモチベーションは、報酬モチベーションです。
「今月の営業成績がナンバー1になったら、ボーナス100万円もらえるからがんばる!」
「起業したら、時間と経済の自由が手に入る!」
これも読んだ字の如く、見返りや報酬目当てでやる気を出すことを言います。
しかし、またもやこのモチベーションも成功にはつながっていません。
仮に、今回はボーナスを100万円もらえたとして、次に同じやる気を出すためには会社から200万円をもらわなければいけません。しかし会社はそんなに多くはくれません。
そこでやる気を失ってしまうのです。
つまり、ご褒美がないとやっていられない、という状態に陥っているのです。
ビジネスをやっていると、時にはなかなか思うように収益が出ない時期だってあります。もし報酬モチベーションでやっているのなら、間違いなく稼げなかったらやめますし、逆に稼いでもやめます。燃え尽き症候群のような状態になってしまうのです。
もしくは、ファンや協力者が去ってしまうかもしれません。
あなたは目がお金になっている人から商品やサービスを購入したいですか?報酬モチベーションでやっていると最初のうちは勢いがいいのですが、これもつかの間に消え去ります。
短期的には効果があるかもしれませんが、人生において、永続的な繁栄を手にするためには、このモチベーションは使えないということになります。
(3)使命感のモチベーション
さて、こちらが最後のモチベーションです。これを使うことでしか成功につながる道はないとうことになりました。使命感のモチベーションとはどのような状態なのでしょうか?
カンタンに言うと、やりたいからやっているという状態です。
誰から指示されたわけでもなく、自分の内面から生まれたモチベーションによって行動できているのです。
また、使命とは、命を使うと書きます。要するに、命をかけてでも成し遂げたいことが使命です。
歴史上の宗教の伝道者たちは命懸けで伝道活動をしていましたが、彼らは特別な報酬があるわけでもなく、恐怖に追われているわけでもありません。
「その教えのおかげで自分の人生が救われた!だから多くの人にもその教えを伝えたい!」という彼らの熱い使命感と情熱で行動していました。
あなたは、なぜ今の仕事をやっているのですか?
あなたは、なぜ今のビジネスをやっているのですか?
この、「なぜ?」に対する質問の答えが鍵です。
成功者は必ずと言っていいほどに使命感で動いています。恐怖や報酬に操られてビジネスをやっているわけではありません。
例えば、今は亡き大成功者、スティーブ・ジョブズの話で説明しましょう。
彼は、「世界を驚かせる革新的なデバイスを作りたい」という熱い思いで、あらゆる画期的な商品を生み出し続けました。これこそが彼の使命でした。
今でも、ジョブズの使命に強く共感、共鳴し、アップル信者と呼ばれる熱狂的なファンが世界中に存在しています。
アップル信者は、アップルの製品しか購入しません。最新版が出たら飛びつくように即購入します。彼らの熱心さとは、仮に使い道や用途がよくわからない状態だったとしても、発売日1週間前から列を作って並んで待っているほどです。
彼らは、「ジョブズが作った商品ならば、どんなに値段が高かろうが買いたい」と強く思っているのです。
ここに大きなヒントがあります。さて、あなたには信者がいますか?
あなたの使命に大きく共感し、あなたにお金と時間の対価を払ってでも関わりたいと思ってくれる熱いファンがいるということが成功の鍵なのです。
しかし、学校でも会社でも信者の作り方など教えてくれません。学歴や資格があれば、よい人生が送れるという間違った思い込みのままの人もいます。
信者という漢字を一文字にすると、儲かる(もうかる)です。信者がいると、だから儲かるのです。信者がいない会社は、短命で儲かりません。
先ほどの間接的努力の法則でもあったように、お金というものは追いかけるものではなく、副産物として自然と手に入るものなのです。あなたにとって、命を使ってでもこの一生涯で成し遂げたいことは何でしょうか?
「自分の使命がわからない!」と言っている人がいます。そのような人は、次の質問をしてみて下さい。
お金と時間が大量にあり余っていたとして、世の中や人々のために成し遂げたいことは何でしょうか?もしくは、過去に辛い経験をしたことがある人であれば、当時の自分のような人を救えるとするならば何をするのか?
実は、このコンプレックスや人生で経験した逆境や困難が使命を見つける大きなヒントになります。
人間なら誰にでも1個や2個はコンプレックスがあると思います。私はコンプレックスだらけの人間でした。
コミュニケーション能力がなければ、お金もなく、ガリガリ体型で、緊張して人前で話せない!!
しかし、今ではこれも感謝の対象です。コンプレックスがあったからこそ克服しようと思うことができ、さらには克服した経験が今のビジネスにつながっているからです。
だから、自分の好きなことがわからない、使命がわからないと言っている人は、頭で考えて思いつこうなんて難しいことはせず、自分のコンプレックスを宝に変えられるようにして下さい。
その中で様々な学びや経験を積むことができるはずです。