多様な働き方が認められるようになった昨今、正社員だけではないさまざまな雇用形態でキャリアアップする人も珍しくなくなりました。

今回は特に「契約社員」として働く場合、正社員とはどのような違いがあるのか、福利厚生面での安全性や、契約社員として給与交渉する時のポイントなどをまとめました。

そもそも契約社員とは?正社員との違いは?

契約社員
(画像=PIXTA)

契約で労働条件が決まっている社員のこと

契約社員とは、その名のとおり、契約で労働時間や期間などのすべての労働条件が決まっている社員のことをいいます。(中略)

契約社員は今や正社員の補助という位置づけではありません。かといって、正社員になるためのステップではなく、「契約社員」とは、さまざまな意味が付加される労働力になっているのです。

契約社員5つのメリットと3つのデメリット(2018年9月24日掲載)

正社員との大きな違いは「期間の定め」

契約社員、正社員とも、働く企業に直接雇用されているのは同じです。違いは、労働契約に期間の定めがあるかどうかです。正社員が期間の定めのないフルタイム労働契約であるのに対して、契約社員は、期間の定めのある労働契約です。

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昇給やボーナスは「ない」ケースが多い

給与やボーナスでは、正社員の方が契約社員よりも恵まれています。正社員は、年齢や能力、功績の査定がされて昇給の機会があり、ボーナスも出ます。契約社員は、契約期間中に昇給することはなく、ボーナスや退職金は出ないことがほとんどです。交通費や住宅手当など、各種手当が出ないこともあります。(中略)契約社員の昇給などの待遇改善は、契約更新時になります。希望がある場合は、更新時に企業側に申し出ましょう。

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契約社員と派遣社員の違いとは?

雇い主が違う

派遣社員は、期間の定めがある労働契約なので、契約社員と同じ非正規雇用です。

違いは、誰に雇われているのかという点です。契約社員は、働く企業に直接雇われています。反対に、派遣社員は雇われている派遣会社から、働く企業に派遣されます。給与は派遣会社から支払われ、仕事の指示は、派遣先の企業から受けます。

交渉をする相手が異なる

給与や業務内容など労働条件の交渉は、派遣会社に希望を伝えて、派遣先企業に交渉してもらいます。契約社員は直接企業と交渉するのと違い、派遣社員は間に派遣会社が入るため、要望を言いやすいといえます。

契約期間が満了になった時の対応も違う

契約期間が満了になると、契約社員は自分で次の仕事を探す必要があります。派遣社員は、派遣会社から次の仕事を紹介される場合が多いでしょう。

条件面では派遣社員、キャリアアップなら契約社員

こうして契約社員と派遣社員を比べてみると、条件面では派遣社員の方が良さそうに思えます。しかし、派遣社員は、時給制が多く補助的な業務が中心です。一方の契約社員は、スキルアップやキャリアアップにつながる業務を任される可能性があるといった違いがあります。非正規社員でも仕事のやりがいを求めるのであれば、派遣社員よりも契約社員の方が合っているかもしれません。

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契約社員の福利厚生はどうなっている?

休日・有給休暇はある

契約社員も正社員と同様に、休日・有給休暇があります。勤務時間が所定労働時間を満たしていれば、正社員と同じ日数の有給休暇が与えられます。

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雇用保険は一定期間働けば加入できる

雇用期間が31日以上、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、契約社員も雇用保険に加入しています。雇用保険の加入期間が12ヵ月以上あれば、退職後の生活の安定のために失業給付が受給できます。

12ヵ月未満でも、1年以内に次の就職をすると加入期間が通算され通算されるため、離職票は確実に受け取っておきましょう。

契約社員が退職時のトラブルを避けるポイント。契約期間中だけど辞めたい場合は?(2018年8月17日掲載)

産休は取れる

産休とは、出産前の「産前休業」と出産後の「産後休業」を合わせた総称です。正社員はもちろん、パート社員や派遣社員、契約社員であっても取得できます。企業が妊娠や産休の取得を理由に解雇することは法律で禁止されています。

「産前休業」は、本人が会社に申請さえすれば取得できる制度です。スムーズに産休へと入るためにも、出産の予定が立てられるようになったらなるべく早めに、出産予定日や産後の職場復帰などとともに妊娠を会社に報告するといいですね。

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退職金は基本出ない

契約社員は、一般的には退職金が出ません。しかし、退職金が出ることもあるので、契約書、就業規則を確認しましょう。

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副業は契約次第

厚生労働省が新たなガイドラインを作成したとしても、働いている会社が契約社員の副業を許可しているかどうかは、その会社の方針によってさまざまです。

(中略)

副業を禁止するのは、本業が手抜きになって仕事に支障がでたり、会社の大切な情報が外へ漏洩する恐れがあったり、さらに、長時間労働を招くのではないかという会社側の恐れがあるからです。

「契約社員は副業できる」はウソ?始める前に知っておくべき副業のこと(2018年8月27日掲載)

契約社員の「期間」に関する豆知識

契約期間途中でも辞められる?

基本的なことですが、契約社員は契約期間を満了する責任があります。ただし、契約期間の途中で双方の合意があれば退職は可能。辞めることを考える場合には、会社の就業規則もしくは雇用契約書などを読み直してみましょう。

契約社員のあなた、急な期間満了に注意!18年から契約期間見直しが本格化(2018年9月12日掲載)

5年間働くと「無期転換」を申請できる

働き方改革によって、契約社員にも大きな変化が訪れました。2018年4月より有期雇用の契約が通算5年を超えると、無期雇用、すなわち期間の定めがなくなる申し出ができます。契約期間の縛りがなくなることで、不安定な立場から安定した立場へと、契約社員を移行する制度です。

契約社員5つのメリットと3つのデメリット(2018年9月4日掲載)

会社と契約社員が裁判で争うケースも

2018年になり、裁判所では会社と契約社員が争う事例が増加しています。契約期間を何度も更新していれば、次も更新してくれるという期待が膨らむのは当然のこと。

半面、時期や状況に応じて人員を調整したい会社にとっては、「無期契約への変更=雇用期間の調整ができない人員増加」ということになります。

そのため、5年を目前にした人材を「契約満了」とする会社も出てきているのです。裁判では、「次回も更新してもらえるだろう」という期待を、どのくらい契約社員に抱かせたかどうかで争われています。

契約社員のあなた、急な期間満了に注意!18年から契約期間見直しが本格化(2018年9月12日掲載)https://fuelle.jp/career/detail/id=2606

契約社員のメリットとは?

仕事とプライベートを両立しやすい

契約で条件を細かく決定できるので、短時間勤務なども可能。人生を送るなかで、いろいろなライフイベントが発生します。育児や介護などで長時間は働けないという方にとって、契約社員はひとつの働き方になります。

契約社員5つのメリットと3つのデメリット(2018年9月4日掲載)

年功序列に関係なく、高いスキルを武器に年収交渉ができる

契約社員は、保有スキルで収入交渉ができることが強みです。外資系の会社では数百万円アップの年収になるケースもあるようです。

契約社員5つのメリットと3つのデメリット(2018年9月4日掲載)

契約社員のデメリットとは?

ボーナスが出ないか、正社員に比べると少ない

2018年8月に公開された賃金構造基本統計調査からボーナスの支給状況を見てみましょう。

正社員は平均で約103万円(注1)、正社員以外は約26万円でした。

ただ、契約社員の場合、企業の規模や産業によって差が見られます。10人以上99人未満であれば約23万円、1,000人以上の大企業であれば約28万円ですし、産業の種類によっても異なります。学術、専門技術職の産業であれば、平均約47万円でした。大企業で技術職など、専門分野を生かせる契約社員であれば、ボーナスの支給額は高くなるといえるのでしょう。

契約社員にボーナスが出るかは会社によって違う。交渉次第でもらえることも?(2018年9月4日掲載)

社会的な信用力が低い

車や家などの購入のためにローンを組む際には、普通は、収入の証明と勤続年数を求められますから、契約社員という立場が不利になる可能性が考えられます。

契約社員5つのメリットと3つのデメリット(2018年9月4日掲載)

契約社員と正社員どちらがいい?

こんな人は契約社員向き

・働きやすさを重視したい
正社員は昇給や昇進の機会があり、給与などの金銭的な面では契約社員より恵まれています。しかし、転勤で転居することになったり、社内の配置転換で自分の意図しない業務を任されたりする可能性もあります。

同じ場所に住み続けて仕事をしていきたい、会社の意図で違う業務をやるぐらいなら転職をしたいという思いがあるのなら、正社員ではなく、あえて契約社員という選択もありではないでしょうか。契約で勤務日や勤務時間の調整が可能な契約社員なら、家事や介護で時間の制約がある場合でも、正社員よりも働きやすいこともあります。

あえて契約社員という人も!契約社員と正社員との違い。契約内容、給料、ボーナスは?(2018年9月6日掲載)

こんな人は正社員向き

・社会的な信用を優先したい
社会的な信用や、待遇面を優先させたい人は正社員の方が向いているかもしれません。しかし、会社によっては転勤の可能性や、さまざまな縛りがあることも考えられます。

契約社員5つのメリットと3つのデメリット(2018年9月4日掲載)

契約社員として頑張るためのポイント

雇用契約書をしっかり確認しよう

この契約は1回限りなのか、更新されるのかなど、契約内容の確認は重要です。「ほとんどの方は更新されます」などのあいまいな言葉で納得しないようにしましょう。他人の条件が自分にも当てはまるとは限りません。

契約社員のあなた、急な期間満了に注意!18年から契約期間見直しが本格化(2018年9月12日掲載)

これから契約社員として転職しようと考えている人は、入社する前にボーナスの有無を含めた待遇など細かく確認することをおすすめします。

時給や基本給、休日など、さまざまな条件が記載されているのが、求人募集や就業規則、雇用契約書です。

最初に見た求人募集と、実際に交わした雇用契約書が異なっているのであれば、「ここが異なるのはどうしてですか」などと、疑問に思ったことを確認しながら、契約を交わす前に条件のすりあわせをしましょう。

契約社員にボーナスが出るかは会社によって違う。交渉次第でもらえることも?(2018年9月4日掲載)

条件の確認は「書面」で

労働時間や給与、賞与については必ず「書面で」確認するようにしてください。口約束になると、「言った、言わない」の争いになった時に証明ができません。

契約社員にボーナスが出るかは会社によって違う。交渉次第でもらえることも?(2018年9月4日掲載)

条件を満たしているなら給与交渉してみよう

いま契約社員として働いている人は、一度これまで実際に支払われた給与明細と雇用条件を照らし合わせてみましょう。

もし、営業成績が○万円を超えた場合にボーナスを支給する、などの条件を満たしていることが確認できているのであれば、会社と交渉して、ボーナスを支給してもらえることがあります。

また、最初の求人募集で、「賞与は、給料の○ヵ月分」などと記載されていれば、追加で手当が支給されている場合には、当然ボーナスもアップする計算となりますので、会社と交渉してみましょう。

ただし、権利だけを求めるのはNG。自分の仕事が正社員と比べてどうか、勤続年数や働きぶりなどを振り返って交渉に挑むことを忘れないように。

契約社員にボーナスが出るかは会社によって違う。交渉次第でもらえることも?(2018年9月4日掲載)

会社から求められる人材になろう

かつては「正社員になるのは難しい」という時期もありましたが、今は急激な少子高齢化で、会社は慢性的な人手不足。いい人を採用したいという企業はたくさんあります。最初は契約社員から始まっても、無期労働契約に転換、正社員への道を用意する企業も出てきました。

契約期間の有無にかかわらず、「この人と働きたい」「この人がいるから助かる」と思ってもらえるような人材になることを心がけたいものです。

契約社員のあなた、急な期間満了に注意!18年から契約期間見直しが本格化(2018年9月12日掲載)

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文・fuelle編集部/fuelle

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