糖質のとり過ぎでメンタルが悪化!

うつ症状を訴える人には、もう一つ共通点があります。「低血糖症」を患っていることです。低血糖症は、名前から勘違いされやすいのですが、血糖値が低くなる病気ではありません。正しくは、血糖の調整がうまくいかない状態を指します。

低血糖症の原因として考えられるのが、糖質のとり過ぎです。通常は食事のあと、血糖値はゆるやかに上がってゆるやかに下がり、3~4時間後には空腹時の状態に戻ります。

ところが、血糖調節の乱れが生じると、糖質の摂取によって血糖値が一気に上昇します。それを下げるために大量のインスリンが分泌されるため、今度は血糖値が急激に下がります。すると、脳は血糖の乱高下を「パニック状態」と判断し、血糖を上げるためのホルモンを大量に放出します。そのため、急にドキドキしたりイライラしたり、精神面に影響を及ぼすのです。

私たちのクリニックでは、糖質を多く含む米やパン、麺類などの炭水化物はなるべく控えるようアドバイスしています。

ですが、多くの人が脳を働かせるためには糖分をとらなければならないと思い込んでいます。確かに、糖質は脳のエネルギー源の一つですが、糖質を摂取せずとも、タンパク質や脂質からもエネルギーは賄えます。タンパク質や脂質は、糖質に比べて血糖値への影響が極めて少ないため、脳にとっても好ましい栄養素なのです。

脳と身体に良い食べ方は「肉ファースト」

うつにならないためには、糖質をできるだけ控え、タンパク質をしっかりとる食事を心がけることが大切です。

朝食は、ご飯やパンよりも、卵料理やハムなどにします。昼食は、外食ならステーキやハンバーグをご飯抜きで注文する。フレンチの食事なら、パンとデザートさえ食べなければ、何を食べても構いません。コンビニで買う場合は、サンドイッチとおにぎりは避けて、サラダチキンやゆで卵、タンパク質の具材が入ったサラダなどを選ぶと良いでしょう。

夜、飲みに行く場合は、つまみは炭水化物を避け、お酒もビールではなく、糖質を含まない焼酎やウイスキーを選ぶようにしてください。小腹が空いたら、甘いお菓子の代わりに、焼き鳥、唐揚げやナッツ類を食べると良いでしょう。

脳と身体に良い食生活のポイントは、ズバリ、「肉ファースト」です。最初にお肉、次いで野菜で胃袋を満たせば、ご飯はさほど食べたくなくなります。炭水化物を減らして満腹感を得られる方法を工夫してみてください。

溝口 徹(みぞぐち・とおる)新宿溝口クリニック院長
1964年、神奈川県生まれ。福島県立医科大学卒業。横浜市立大学医学部、国立循環器病センターを経て、97年、溝口クリニック(現・辻堂クリニック)を開設。2003年、日本初のオーソモレキュラー栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニックを開設。年間50回を超える患者や医師向けの講演活動を行なっている。『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』(光文社新書)、『まず「白米」をやめなさい!』(あさ出版)など著書多数。《取材構成:前田はるみ》(『THE21オンライン』2018年8月号より)

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