ZOZOの前澤社長が、10月にバイオリンの名器であるストラディヴァリウスを落札したことが話題になっています。落札価格は明かされていませんが、過去の落札額を想像するに、数億円であることは間違いないでしょう。なぜ、富裕層は、自分が演奏しないにもかかわらず、高級楽器を購入するのでしょうか。その理由を、様々な観点から解説します。
楽器を持つことの、社会的、経済的な魅力とは?
楽器は一般的には演奏して楽しむものです。しかし、富裕層ともなると楽器には他の魅力があるのです。
1つ目は、節税目的です。楽器には資産価値があるため、高額の楽器の場合、資産計上されて、その分、税金が安くなることがあります。2つ目は、投資対象としての魅力です。特に名器と呼ばれる楽器は、年を経るごとに資産価値が上がっていくのです。3つ目は、社会貢献です。自身の所有している楽器を演奏家に貸し出すことで、芸術文化の発展に役立っているということを実感できるのです。
このように、富裕層には、富裕層ならではの楽器の楽しみ方があります。では、それぞれの魅力について、もう少し詳しく説明していきましょう。
楽器を持つことで、節税にも使える
富裕層ならではの悩みの1つとして、税金対策があります。その解決策の1つとして、楽器が節税として使えるということです。事業用として使うのであれば、楽器は資産として認められます。楽器の耐用年数は5年、中古であれば1年で償却することが可能であり、その分だけ、節税することができます。
楽器は投資対象になりえるのか?
楽器に投資する、というのは、一般人であればあまり聞かないかもしれません。しかし、富裕層にとって楽器は美術品やワイン同様投資対象でもあるのです。
名器と呼ばれる楽器は、作り手が死亡しており、もう生産ができないものがほとんどです。そのため彼らのコレクションは基本的に価値が落ちることは少なく、さらに良い演奏家に演奏された名器は、「●●が演奏した楽器」として価値が上がっていきます。実際、2011年には、日本財団がストラディヴァリウスを12億円で売却しています。日本財団は、2008年にストラディヴァリウスを購入し、2011年に売却したのですが、その間にストラディヴァリウスの値段は倍以上に上がったと言われています。日本財団は、3年で数億円の利益を得たのです。
投資対象になる楽器としては、バイオリンが有名ですが、高級ピアノのスタインウェイなども、価値が変わらないという理由で、投資対象になっています。
富裕層と楽器の繋がりとは?
また、楽器を持つことは、社会貢献にもなります。先ほども述べたように、自身が楽器やホールなどを所有して、それを貸し出すことで、芸術家を支援することが社会貢献になるのです。
かつて、中世ヨーロッパでは、パトロンと呼ばれる存在が芸術家たちを支援してきました。レオナルド・ダ・ヴィンチも、パトロンなしでは芸術活動はできなかったのです。日本においても、徳川家は、「御用絵師」という形で、芸術家の地位を保証していました。今でも、サントリーホールなど、企業が支援をする形も含めて富裕層が芸術家を支援している例というのは多くあります。このように、富裕層と音楽、芸術というものは、切っても切り離せないものだと言えるでしょう。
楽器を持つことは、富裕層ならではの贅沢
ストラディヴァリウスやスタインウェイなど高級楽器と呼ばれるものは、投資対象としても節税対象としても価値を持っています。そして何より、そういった楽器を演奏家に使わせることで、楽器としての価値を上げるとともに、社会貢献にもなっているのです。楽器投資は、富裕層のみにゆるされた贅沢です。もしチャンスがあれば、楽器投資をチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(提供=JPRIME)
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