前日については、トランプ大統領が「ドルが非常に強く事実上インフレが見られない中で、FRBがなお追加利上げを検討しているのは信じられない」とTweetしたことにより、ドルの上値が意識され、ナバロ米国家通商会議(NTC)委員長も「米経済は成長しているが物価上昇は見られない。FRBは今週のFOMCで利上げの必要ない」と述べ、利上げに反対しました。既に19日の利上げについては、織り込み済みではあるものの、直前に利上げ反対の意見が多く出ていることで、もしかしたら利上げしないのではとの思惑が強まっており、ドル円は113円がレジスタンスになっています。

また、これまで堅調な経済指標がドル買いをサポートしていましたが、米・12月NY連銀製造業景気指数が市場予想20.0に対して10.9となり、大きく市場予想から悪化しました。これを受け、ISM製造業についても悪化することが予想されるため、経済指標の悪化が、ドルの上値を重くするかもしれません。12月は世界的に株安の動きになっていますが、NYダウの下落幅は他の株式市場と比べても突出しています。本日も日経平均株価が軟調に推移しているため、引き続き株安の動きがリスクオフを演出するかもしれません。

ポンドについては、メイ英首相がEU離脱合意の英議会採決を1/14日の週に行う意向を示しました。EUは再交渉の可能性を否定しており、クリスマス休暇も控えている事からしばらくはブレグジット問題関連の話題がなくなりそうなため、一旦はポンドの動きは落ち着きを取り戻すかもしれません。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

これまでは、12月の利上げが大前提であり、パウエルFRB議長よりハト派寄りの発言が出てきてからは、翌年の利上げ回数に焦点が当たっていましたが、12月の利上げすらも100%利上げだとは言い切れない状況になっています。12月については利上げを行う可能性が高そうですが、それまでに様々な憶測が飛び交う可能性があるため、大きくドルが買われる展開にはならない公算です。

イタリアの予算案問題により、ユーロについても焦点が当たっていましたが、イタリアのコンテ首相、サルビーニ副首相、ディマイオ副首相は2019年度予算案について完全に合意したと述べたており、フランスでは、マクロン大統領がイエロー・ベスト運動のデモ拡大を受けて対応策を発表しました。目先の懸念事項をクリアしていることにより、これまでとは違いユーロ買いドル売りの動きが強まっています。ユーロドルでは1.1350ドル付近まで反発しており、1.1400ドル台への回復も時間の問題かもしれません。

前日は、NYダウを筆頭に株価下落が主導し、米国債金利が低下しました。主要通貨の中でも、円とスイスフランという有事通貨が買われ、リスク資産であるコモディティが売られました。マーケット全体を見渡すと、明確にリスクオフの動きとなっていることから、大きく反転する材料が出てこない限りは、このリスクオフの動きが継続するものと考えられます。ドル円については、113円のラインを下抜けていることから、直近安値である112.20円台が視野に入ってきているものと思われます。

112.70円での利食いで手仕舞、基本は様子見も113.20円付近ではショートにしたい

113.50円でのショートの積み増しでの平均値113.40円、112.70円での利食いで手仕舞です。時間がかかってしまいましたが、イメージ通りの動きとなりました。FOMCの利上げについて今後様々な憶測が飛び交う可能性があるため、直近安値である112.20円付近を目指しそうですが、まずは戻り待ちです。113.20円付近まで戻りがあれば素直にショート戦略です。

海外時間からの流れ

NYダウは、507ドル安と連日の大幅安となっています。FOMCを前に警戒ムードが強まっていることが要因ですが、完全にリスクオフの動きになっています。ホワイトハウスから12月利上げについて反対の意見が多く聞かれており、本日も引き続き同様の発言があるかもしれません。同様の発言があった場合は、シンプルにドル売りに傾く可能性が高いと考えられます。

今日の予定

本日の経済指標としては、独・12月IFO景況指数、米・11月住宅着工件数などが予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。