注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)については、市場コンセンサス通り目標レンジを2.25-2.50%に25bp引き上げました。事前に、トランプ大統領を筆頭とするホワイトハウスから利上げに対して牽制される場面がありましたが、蓋を開けてみれば、順調に今年4回目の利上げとなりました。ただ、四半期に一度の経済・金利見通し(ドット・チャート)では、2019年の想定利上げ回数は従来の3回から2回に減ったほか、GDPやインフレ見通しも下方修正されました。今回のFOMCに関しては、様々なパターンが想定されたものの、12月に利上げを行い、2019年の見通しを下方修正するという、最もスタンダードな結果に落ち着いたかたちとなります。

声明文については、「さらなる緩やかな利上げが経済活動の持続的な拡大、力強い労働市場の状況、中期的に委員会の対称的な目標である2%に近いインフレ率と整合すると判断」と指摘し、前回の声明から文言を若干修正したものの、想定外にタカ派よりのスタンスを維持したこともあり、ドル円は一時112.60円台まで上昇する場面がありましたが、米国債10年金利は低下し、NYダウも下落、想定外のタカ派スタンスが米国の景気後退を早めるとの懸念に繋がったものと考えられます。

パウエルFRB議長の記者会見については、「経済は引き続き好調」「大半のメンバーは経済が来年順調と予想」としながらも「9月以降経済に一定の逆風」「海外の成長鈍化や金融の変動など経済軟化の兆候がみられる」とし、世界景気の減速懸念に言及しました。この内容については、以前より同議長が指摘していたこともあり、動意は限定的になりました。今回のFOMCについては、結果からみると一番ノーマルな展開で落ち着いたこともあり、年末に向けての動意に関しては限定的になりそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、日銀金融政策決定会合が予定されています。世界的な株価下落が象徴しているように、経済成長への懸念は残されているものの、国内経済に大きな変化が見られないため、金融緩和も副作用への対応も議論の中心にはならない公算です。2019年1月に展望レポートを公表することもあり、今回の会合では特段サプライズなく、無風通過の可能性が高いと考えられます。

日銀以外では、BOE(英中銀)の政策金利も発表されます。こちらは据え置きがコンセンサスになっており、ブレグジット動向が注目を集める中、BOEが大きく方針を変更するとは考えづらく、こちらに関しても無風通過になりそうです。ブレグジット問題が「合意なき離脱」の可能性が高まったことで、来年第1四半期の利上げの可能性は低下しているものの、今回の議題ではないこともあり、全会一致で政策金利据え置きというかたちに落ち着くものと考えられます。

注目すべきはユーロドルでしょうか。欧州委員会がイタリアの2019年修正予算案を承認したことで、一時1.14ドルを回復していたものの、その後伸び悩んでいましたが、FOMCを控えたドル売りが強まったことで一時1.1430ドル台まで上昇しました。ただ、その後は引き続き上値の重い展開が継続していることもあり、1.14ドル半ば付近は戻り売りポイントとして認識されたかもしれません。ドル円の動きが限定的になりそうなため、ユーロドルに戦略をシフトするのも面白いかもしれません。

ユーロドル、FOMC前の1.14ドル半ばをターゲットに戻り売り

1.1440ドル付近から再度1.14ドル割れまでユーロ売りが強まっており、FOMC前の水準が一定の戻り売りポイントとして捉えられた可能性があります。ドル円から戦略をシフトし、1.1430-40ドル台での戻り売り戦略、損切りは1.1480ドル上抜け、利食いに関しては、1.1320ドル台を目安とします。

海外時間からの流れ

FOMCにおいて、12月利上げ、2019年利上げサイクル低下までは市場のコンセンサス通りでしたが、声明文がタカ派寄りになっていたこともあり、株安が強まっています。為替の材料が乏しくなっており、株価動向を睨みながらのマーケットになっていることもあり、ドル円を筆頭としたクロス円の上値は重くなることが想定されます。

今日の予定

本日の経済指標としては、豪・雇用統計、日銀金融政策決定会合、黒田日銀総裁定例会見、英・11月小売売上高指数、英中銀(BOE)政策金利、米・12月フィラデルフィア連銀景況指数、米・新規失業保険申請件数(前週分)、メキシコ中銀政策金利発表などイベントが目白押しとなっています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。