要旨

●21 日、政府は2018 年度の第2次補正予算案を閣議決定。追加歳出額は3兆円、税収上振れ等のほか、追加の建設国債発行で財源が賄われる。

●補正予算は国土強靭化を主軸としており、公共投資が中心だ。昨年に比べても規模が大きく、今後のGDPの押し上げ要因となろう。消費税対策の意味合いもあり、その効果は19 年度後半を中心に発現するよう、執行調整がなされるだろう。

国債
(画像=PIXTA)

追加歳出は3兆円、追加国債も発行

 21 日、政府は2018 年度の第2次補正予算案を閣議決定した。追加歳出は3.0 兆円。柱は防災・減災のための国土強靭化対応であり1.1 兆円が計上されている。加えて、農林水産業強化0.3 兆円、中小企業支援に0.2 兆円が計上されている。その他、自衛隊の運用体制確保や隊舎整備(0.4 兆円)、災害復旧等(0.2 兆円)や国際機関の分担金(0.1 兆円)などが盛り込まれる。

 財源には2018 年度税収の当初見込みからの上振れ分(0.8 兆円)、税外収入(0.1 兆円)、前年度の純剰余金(0.7 兆円)、追加の国債発行(1.0 兆円、建設国債+1.3 兆円、赤字国債▲0.3 兆円)が充てられる。

 筆者は10 月時点のレポートで、税収上振れ分など財源面から追加歳出の規模を2兆円強と予想していたが、それを上回る規模の財政拡張色の強い内容になっている。①今年災害が相次いだこと、②今回の補正は来年の消費税率引き上げに際しての経済対策の性格も帯びていたことで、規模が拡大、財源不足分については追加の国債発行が実施されることとなった。

 一連の予算は、今後のGDPの押し上げ要因となろう。今年は補正、当初ともに公共投資が前年に比べて多く積まれている。投資関連経費に充当される建設国債発行額は、17 年度補正:1.2 兆円→18年度1次・2次補正:2.0 兆円、18 年度当初:6.1 兆円→19 年度当初:7.0 兆円とともに増加する。なお、その効果は19 年度後半を中心に生じそうだ。政府は2019 年10 月に予定されている消費税率引き上げの際に予想される駆け込み需要の平準化を目指しているが、公共投資が年度前半に集中するとその波を却って増幅することになりかねないため。年度後半に効果が生じるよう執行調整が行われよう。

2018 年度第2次補正予算案のポイント
(画像=第一生命経済研究所)
2018 年度第2次補正予算案のポイント
(画像=第一生命経済研究所)

第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部
副主任エコノミスト 星野 卓也