NISAは、投資で得た利益にかかる約20%の税金がかからないお得な制度。お得に積み立てできる「つみたてNISA」は多忙なビジネスパーソンに適しているが、NISAは1人1口座しか開設できないため、口座を持つ金融機関は慎重に選びたい。

一般NISA口座を作ったらつみたてNISAの口座は作れない

つみたて,NISA
(画像=SFIO CRACHO/Shutterstock.com)

つみたてNISAに先行して開始した制度に、一般NISAがある。

どちらも一定期間内なら運用利益が非課税になる点は同じだが、一般NISAの非課税期間が5年間なのに対し、つみたてNISAは最長20年間だ。そのため、比較的短い期間での値上がり益狙いなら一般NISA、長期の資産形成が目的ならつみたてNISAが適している。

また、一般NISAが年間120万円まで一括・分割を問わず投資できるのに対し、つみたてNISAは年間40万円を上限に積立のみでの投資に限定されている。このことからも、両制度の目的が異なることがわかる。

お得な制度なので両方とも活用したいところだが、NISA口座はどちらかしか持つことができない。

一般NISAでも積立設定できるが……

つみたてNISAは少額を機械的に長期間積み立てるため、短期での売却は想定していない。毎月の継続投資によって購入価格の平準化もでき、購入のタイミングを気にせず続けていきやすい。

一般NISAでも積立設定はできるが、5年以内に売却しなければ運用収益非課税の恩恵を受けられない。コツコツ投資をするなら、非課税期間の長いつみたてNISAに分があるだろう。

このつみたてNISAの非課税期間について、政府・与党は2019年度税制改正で、2037年までの非課税期間を延長しない方針を固めている(2018年12月時点)。このため2019年以降につみたてNISAを始めるなら、非課税期間が毎年短くなる。開始時期が遅いと恩恵が少なくなる点には注意したい。

つみたてNISAの金融機関選びは利便性とサービスに注目

つみたてNISAは、1つの金融機関でしか口座開設できないため慎重に選んでいきたい。比較する項目は商品ラインナップ、利便性、サービスだ。

このうち、特に重視したいのは利便性とサービスである。なぜなら、投資できる商品は金融庁が基準を定めており、各社で違いが出にくいからだ。ただし、取扱商品数は異なり、選びやすさを重視して数を絞る金融機関と、豊富に揃える金融機関に分かれる。前者は対面型に、後者はネット証券に多い。どこの金融機関でも購入手数料は原則としてかからないため、利便性とサービスで選択するべきだ。

ネット証券では、引き落とし銀行を指定できたり、クレジットカード決済できたりと利便性が高い。仮に引き落としに指定した銀行を利用しなくなったとしても、引き落とし口座の変更もできる。長年にわたって積み立てていく制度であることを考えると、ネット証券の柔軟さは安心できるポイントの一つと言えるだろう。

商品ラインアップに差が出にくい現状では、利便性が高いネット証券に優位性があると言えるだろう。

つみたてNISAでポイント還元のあるネット証券

大手ネット証券はいずれも、手数料は割安、取引ツールが充実しており、マーケット情報の配信も盛んだ。しかしつみたてNISAでは売買を前提としないため、あまりメリットはない。

ネット証券の特徴一つに、「ポイント付与」がある。投資に対するポイント付与サービスは増えてきたが、つみたてNISAの取引にまでポイントを付与する金融機関はまだ少ない。大手ネット証券の中でも、投資信託までポイント還元対象に含めているのは、SBI証券と楽天証券の2社のみである(2018年12月時点)。

SBI証券は預かり残高に応じてポイントが貯まる

SBI証券には、購入額ではなく年間の投資信託残高に対してSBIポイントが貯まる、投信マイレージサービスがある。

SBIポイントとは、現金・他社ポイント・商品のいずれかに交換できる独自のポイントだ。うまく活用すればさまざまな恩恵が受けられるが、0%、0.03%、0.05%、0.1%、0.2%と購入商品や保有残高によってポイント付与率が変わり、分かりにくさを感じるかもしれない。

楽天証券は楽天クレジットカード決済で1%ポイント還元

楽天証券では、楽天クレジットカード決済で投資信託の積立をした場合、カード決済額の1%分の楽天スーパーポイントが付与される。つみたてNISAも取引対象であり、楽天市場や楽天カードをよく利用する人ならぜひ活用したい。

注意したいのは、楽天カード決済ではなく楽天カードの支払口座から直接引き落としをする積立方法だとポイント還元されない点だ。よく似ているため間違えないように気をつけたい。

つみたてNISAの口座開設は利用価値の高い金融機関を

決済額に対してよりも、投資信託残高に対するポイント還元のほうが長期的には還元額は大きくなりそうだが、そうとも言えない。SBIポイントの付与率0.1%の商品に3万円積み立てると、単純計算で360万円貯まる10年後には、楽天証券より有利になる。一方、付与率0.03%の商品では、1,200万円以上の残高がなければ楽天証券に勝てない。

そのため、どちらが得かは断定できない。すでに通常口座に投資信託残高のある人なら付与率が低くてもSBI証券がお得かもしれない。楽天市場をよく利用する人なら還元額が劣るとしても楽天証券を利用するほうがメリットは大きいだろう。

有利な金融機関で口座開設することは大切だが、日常生活の中でそのメリットを享受できなれば意味がない。つみたてNISAは長期の資産形成に使うものだからこそ、本当に自分にとって利用価値の高い金融機関はどこなのかを考えて選んでほしい。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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