多忙を極める経済学者の手帳活用法とは?
「手帳をどう使うか」は、「時間をどう使うのか」ということであり、その人の時間観が如実に表れるもの。より短い時間で生産性の高い仕事をするためには、どんな時間管理をすればいいのだろうか。『「超」整理手帳』の生みの親にして、数々のITツールを使いこなす野口悠紀雄氏に、タイムマネジメントおよび手帳の使い方、メモの取り方についてうかがった。
タイムマネジメントの理想は「真っ白な手帳」
仕事において「タイムマネジメント」が重要なことは、いまさら言うまでもない。だが、経済学者の野口悠紀雄氏は、多くの人が「ある誤解」をしていると指摘する。
「それは、手帳を予定で埋めることがタイムマネジメントだと思っていることです。私はむしろ、『いかに用事を入れないか』こそがタイムマネジメントにおいて大事だと考えています。
私の仕事は、書籍や論文の執筆です。執筆のためには、中断されない時間をいかに確保するかが重要です。つまり、手帳が真っ白であればあるほど、私の時間管理は成功だと言えます。
私の仕事は執筆なので、誰にでも通用するかどうかはわかりません。ただ、どんな仕事でも、本来、すべき仕事やしたい仕事があるはずです。それに集中するためにいらない仕事を削るということは、あらゆる職種の人にとって重要だと思います。少なくとも、手帳が真っ黒になっているほうが良い、というのは間違いです」
そのためには、「いかに用事を断るか」が重要だ。
「とはいえ、すべての予定を断ることは難しい。どうしても外せない用件がある場合は、なるべく、特定の期間内にまとめるようにしています」
スケジュールは、中長期で一覧しよう
野口氏が自身で開発し、ロングセラーとなっている『「超」整理手帳』。ジャバラ式に折りたたんだページを広げることで、8週間ぶんの予定がひと目でわかるこの手帳は、中長期の視点で予定を組むことが重要だという視点から生まれたものだ。
「執筆の仕事で言えば、重要なのは締め切りです。いつ、どの原稿の締め切りが来るかを先々まで把握したうえで、それに向けたスケジュールを組むことが重要です。
これはどんな仕事でも同じだと思いますが、1週間の予定しか目に入らない普通の手帳を使っていると、目の前の細かい仕事をこなすことばかりに目がいきがちになってしまう。その結果として、いつも時間に追われ、予定に振り回されることになるのです」
実際のスケジュール管理においては、この手帳とアプリを併用しているという。
「『「超」整理手帳』のアプリ版があるので、最近はそれも併用しています。音声入力が使えるなど、入力が簡単だからです。iOSの新しいバージョンに対応していないため、現在ではダウンロードできないのが残念です」