デジタル化の勢いが増す昨今、ネット通販の存在感が増している。そうした中、実店舗での接客と同様にサイト上での「おもてなし」を実現する「WEB接客」が注目を集めている。 もはや商用サイトには必要不可欠といっても過言ではない「WEB接客」について詳しく見ていこう。

実店舗と同様のきめ細かな接客を

chat
(写真=oatawa/Shutterstock.com)

WEB接客の強みは、店舗スタッフによる接客の代わりにWEBサイトを訪問した顧客一人ひとりのデータを把握し、それに応じたきめ細やかな対応を可能とする点だ。

データの基本となるのはWEBの閲覧状況だ。使用端末はスマホかPCかタブレットか、以前にサイトを訪問したことがあるか、購入履歴はあるか、流入経路はWEB検索エンジンか広告かなど。こうしたデータから顧客像を類推し、ぴったりのメッセージやおすすめ商品、クーポンなどを提示する。購入意欲を後押しするほか、コンバージョン率の向上やサイトからの離脱防止にも役立つとされる。 最近では、AI(人工知能)を取り入れて、さらに詳細な顧客のセグメント分けが可能なツールもある。

WEB接客の代表例「ポップアップ型」「チャット型」

WEB接客ツールは、大きく分けて「ポップアップ型」と「チャット型」の2つがある。 「ポップアップ型」は、サイト内でメッセージを表示するもの。サイト訪問時のウエルカムメッセージから、プロモーションの案内、メンバープログラムへの登録やSNSへの「いいね!」を促すものなど、さまざまなバリエーションを顧客に応じて使い分ける。顧客の訪問回数に応じて内容を変えることも可能だ。

例えば、購入を迷っている顧客がいたとする。購入を迷っているかどうかは、WEBサイト上での行動で把握できる。例えば、同じ商品ページを行き来している、旅行や航空券などであれば日付を変えて検索を繰り返している、ページの滞在時間が長い……などが判断基準になる。

こうした顧客の購入を一押しするために、あるタイミングで「本日限り20%オフ」というクーポンを表示したりすれば、プロモーション効果で購入を迷っていた顧客をクロージング(成約)につなげられるというわけだ。

2つ目は「チャット型」だ。最近、WEBサイトの隅にチャットの窓口が設置されているサイトが増えているのをご存じだろうか。 「LINE」や「Facebookメッセンジャー」のように、顧客と店側がリアルタイムで文字ベースのコミュニケーションがとれる。

中には、チャットボットと呼ばれるシステムが自動応答している場合もある。週末や夜中にネットサーフィンをしてショッピングを楽しみたいという人も多いが、カスタマーサービスセンターの対応時間外であることも多い。その点、チャットボットであれば24時間365日対応可能だ。

「送料はどれくらいかかる?」「配送までの期間は?」といったFAQ(よくある質問)であれば、チャットボットでも十分対応可能だ。複雑な質問やパーソナルな内容には、有人のオペレーターに切り替えて対応するシステムも多い。

企業側としても、すべての問い合わせに有人のオペレーターを投入する必要がなくなる上、営業時間外の問い合わせを取りこぼすこともなくなるとして、メリットが大きいのだ。

WEB接客市場、2021年度まで年間34.5%の伸び

最近は、EC以外のサイトでもこうしたWEB接客を取り入れる事例も増えてきた。市場調査会社のアイティーアールが2018年2月に発表した調査結果では、2017年度の国内Web接客市場は対前年比129.4%増の39億円、2018年度は50億円と推計している。 2016年度から2021年度までのCAGR(年平均成長率)は34.6%と高成長を維持し、2021年度の市場規模は75億円と予測しているのだ。

デジタル世代の台頭で、企業とのコミュニケーションも即時性のあるチャットを求めるユーザーが増えている。 一方、企業側としてもコミュニケーションコストを抑制しつつ、ユーザーとのエンゲージメントを強化する必要性に迫られている。

夜間や週末の対応が可能なチャットボットや、AIを駆使したツールなどの導入で、商用サイトにおけるWEB接客の存在感はますます高まっていくだろう。(提供:百計ONLINE


【オススメ記事 百計ONLINE】
後継者問題解消、3つのパターン
事業承継税制の活用で後継者へのバトンタッチをスムーズに
相続税対策に都心の不動産が適している理由とは
長寿企業に見る、後継者育成と「番頭」の重要性
中小企業の事業譲渡としての秘策・従業員のMBOについて