2008年9月に米国のウォールストリートで起きた株価の大暴落。リーマンショックは世界的に大きな影響を及ぼした1929年の大恐慌以来の金融危機とまでいわれました。これを受けて、2008年のリーマンショック後、金融規制当局は金融機関に対して規制強化やコンプライアンス遵守を要請しました。その後、2010年7月、通称ドッド・フランク法という金融改正改革法が施行され、同改革法を皮切りに次々に法改正が行われました。RegTech(レギュテック)はこれらの厳しい規制強化にあたり、FinTech企業や金融機関を手助けしてくれる存在として注目を集めています。

ドット・フランク法施行後のアメリカの現状

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(提供=J.ScoreStyle)

通称ドッド・フランク法のもと、さまざまな法改正が行われました。金融機関はその都度対応を迫られており、コンプライアンスへの意識はとても強くなっています。世界的にも権威のある 米国 The Boston Consulting Group が、2017年に発表した 「グローバルリスク 2017」 によると、規制強化の結果、2016年12月の時点で金融業界に課せられた罰金は、321ビリオンドル (約36兆円)にものぼるとのことでした。

度重なる法改正やコンプライアンスに対応できない金融機関は高額な罰金の支払いを指示されたり、罰則を受けることになります。そして、それに伴い金銭的な負担が増えているようです。RegTechは実際にどのような役割を担っているのでしょうか。

Regtechとはどのようなものか

RegTechは規制(Regulatory)とテクノロジー(Technology)をかけ合わせた造語です。RegTechは複雑化するコンプライアンスや厳しい規制への対応をスムーズに行うことを目的として誕生しました。

例えば金融機関で口座開設をする時に必要な新規顧客本人確認プロセスであるKYC(Know Your Customer)は本人確認に時間がかりますが、最新のブロックチェーン技術を採用すれば他の金融機関とKYCデータを共有することができ、確認プロセスを大幅に短縮できると言われています。

さらに、AI(人工知能)による複雑なデータ分析を行ったり、リアルタイムでトランザクションをモニタリングしたり、莫大なデータから行動分析を行い、今後の行動を予想した報告書を作成することもできます。

将来のリスクマネジメントにも有効なRegTech

2017年に米国 Accenture社 が、北米、欧州、アジアパシフィック、ラテンアメリカの金融業界をリードする150社のコンプライアンスリスクマネージメント担当者に実施した 「コンプライアンスリスク調査」によると、これらの89%もの企業が今後2年間でコンプライアンス対応にかかるコストが上昇すると予測しています。

RegTechを導入すれば、規制当局から義務付けられているコンプライアンスへの対応だけでなく、データを活用して今後の売上予測が可能になるため、将来のリスクを予め回避できる可能性を秘めています。つまり、RegTechは、人によって行われている業務を自動化して金融機関の負担を軽減するだけではなく、将来のリスクマネジメントにも役立つ期待が持てるということです。

また、RegTechを他のFinTechやビックデータと一緒に効果的に活用すれば、新たなビジネスが創出できるかもしれません。

RegTechはFinTechのサポート役

2008年のリーマンショック以降、アメリカの金融機関はこれまでと様変わりしてしまいました。トランプ大統領は金融規制を緩和するように訴え、2017とはいえ、世界各国で起きているテロやマネーロンダリングの防止策としても、2008年のようなリーマショックを二度と起こさないためにも、法令諸規則に則った運営が継続されることでしょう。

グローバル化がますます進んで行く中で、KYCのデータベースを各国の金融機関で共有できるようになる日はそう遠くないでしょう。また、FinTech業界では今後RegTechがそのサポート役をつとめ、新しいサービスの創出等を行うこともできるかもしれません。そして、両業界ともにさらなる発展がもたらされる可能性もあります。今後の動向に注目してみてはいかがでしょうか。(提供:J.Score Style

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