今後のFRBはどう対応する!?

18日、FOMCは月額250億ドルの証券の追加購入額を10月から100億ドル減らして150億ドル(約1兆6千億円)にすると発表しました。これで7回連続の減額となります。今回、FOMCは、量的金融緩和からの出口戦略に関する原則を示し、雇用の回復が続くことを条件に、10月の会合で追加購入の停止を決めると表明しました。また、利上げに関しては慎重な姿勢を示し、経済データ状況・見通し次第と見解を述べております。
さて、今回市場で注目になっていたのは、FOMCの声明文中の利上げ時期に関する「相当な期間」という文言です。市場がここまで注目するのはなぜでしょうか?それは、過去にイエレンFRB議長が相当な期間は6ヶ月ほどだと述べている点にあります。市場関係者の利上げ開始時期のコンセンサスは2015年半ばとなっており、「相当な期間」の文言がなくなれば春には利上げが開始されるという意味で受け取ることができるためです。結果的に今回もこの文言は残りましたが、今後のFOMCの声明文には要注目といえます。

今後のFRBの動向ですが、イエレン議長は徹底したハト派的なスタンスを貫いています。そのため景気に対して慎重な金融政策を継続し、テーパリングの年内終了後、景気の底堅さと物価上昇を確認し、来年に利上げのタイミングを探るという基本的なスケジュールへの変更はないだろうとしています。また金利上昇は米国のファンダメンタルズを背景にしたものとなるため、仮にそれがなされたとしてもそれが大きな売り材料になることはないでしょう。


米国経済と地政学リスク

堅調な推移をみせる米国経済ですが、ウクライナにおけるマレーシア機墜落やイスラエル軍によるガザ地区地上作戦の開始など不安定な東欧、中東諸国の政治リスクから波及するインパクトが現状の経済リスクといえるでしょう。

ただし、こうした地政学リスクが、ドル円相場に及ぼす影響は一時的と考えられています。米国経済の回復基調や主要国中銀の長期規制緩和期待からリスク選好的な動きから、ドル高/円安のトレンドとなっています。雇用統計影響からトレンドの鈍化はありながらもはこの動きは継続される見込みです。日米の金融政策についても基本的に変更がなく、既定路線で動いているため大きなトレンドの変化はないと見られます。

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