副業をしている人の中には、株式や投資信託、先物、FX(外国為替証拠金取引)、仮想通貨、不動産など、さまざまな資産に投資を行っているケースもあるでしょう。投資で得られた利益や損失に対する税制上の取り扱いは、資産によって異なっています。

そこで今回は、「確定申告が必要なのか、不要なのか」「確定申告をした方が得なのか、得ではないのか」という観点から、資産ごとに確定申告の是非や損得についてご説明します。

源泉徴収されている資産への投資は確定申告不要

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(画像=dencg/Shutterstock.com)

株式や債券など、ほとんどの金融資産については確定申告を必要としないケースが一般的です。口座開設の際に「源泉徴収ありの特別口座」を選択していれば、確定申告する必要はありません。

源泉徴収とは、所得税をあらかじめ事業者が差し引いてくれる仕組みを指しています。会社員であれば、自分の給料からも税金が源泉徴収されているでしょう。この源泉徴収が適用されている資産であれば、確定申告は不要です。

一方、証券口座の中でも「源泉徴収なしの特別口座」ないし「一般口座」を選択した場合は確定申告が必要となります。「源泉徴収なしの特別口座」の場合は、金融機関の作成した年間取引報告書を利用して損益を計算し、確定申告と納税を行います。一般口座の場合は、損益の計算から確定申告、納税までの全作業を投資家自身の手で行わなければいけません。

ただし源泉徴収がない場合でも、投資やその他副業の合計収入が20万円であり、他に確定申告を必要とする条件がないのであれば、必ずしも確定申告をしなくても構いません。そうは言っても、やはり源泉徴収のある特別口座を選択するのが無難でしょう。

なお、源泉徴収なしからありへ変更したり、一般口座と特別口座の両方を開設したりすることは可能です。それでも、制度上の決まりで一般口座の資産を特別口座へ振り替えることはできません。

不要でも確定申告するとお得になるケース

仮に確定申告不要となるケースでも、絶対に確定申告してはいけないわけではありません。むしろ確定申告を行うことで、所得税や住民税などの税額が軽減されるケースもあります。

確定申告した方がお得になるのは、株式や投資信託などの売買によって、年間を通じて売却損(譲渡損失)が発生している場合です。損失は課税対象になりませんから、本来であれば源泉徴収があってもなくても確定申告をする必要はありません。しかし、譲渡損失を別の利益と相殺することで、その利益に課されるはずだった税金の額が安くなる可能性があるのです。

これには、2つのケースがあります。まずは、複数の金融機関を利用しているケースです。金融機関Aで利益、金融機関Bで損失が出た場合、両者を相殺することでAの利益を減らし、税金が安くなります。これを「損益通算」と呼びます。

もう1つは、損失の繰越控除を利用するケースです。ある年に損失が出て次の年に利益が出た場合、前の年の損失と相殺できるのです。制度上、翌年以降最大3年までは繰越控除が可能です。

「雑所得」に含まれる投資だと確定申告が必要

株式や投資信託などで得られる所得は、概ね「譲渡所得」や「配当所得」に該当します。しかし先物取引やFX、仮想通貨取引などの場合は「雑所得」に該当し、源泉徴収は行われません。したがって、自分で損益を計算し、年間の利益と給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えている場合は確定申告をする義務が生じます。

ただし、損失の相殺や繰越控除する仕組みは限定的ながら存在します。先物取引・FXの損失は先物取引・FXの利益と、仮想通貨の損失は他の雑所得(仮想通貨の利益含む)と相殺および繰越控除ができます。ただし、先物取引・FXと仮想通貨の損益通算はできません。

不動産投資は確定申告が必須

不動産投資で利益を得た場合は、金額にかかわらず確定申告が必要です。不動産を売却して利益が出た場合は「譲渡所得」、家賃収入で利益が出た場合は「不動産所得」にそれぞれ分類されます。

譲渡所得や不動産所得は、損益通算や繰越控除が可能です。不動産投資で損失を出した場合は、損失自体を埋めることはできないものの、税金を安くするのに利用することができます。(提供:Incomepress


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