前日の海外時間では、本日東京時間にトランプ大統領の一般教書演説が行われることもあり、ドル円は一時110.038円を示現し、110円台を回復したものの、安値高値で25銭程度という非常に狭い値幅になりました。米・1月ISM非製造業景況指数が発表され、市場予想57.1に対して56.7と多少の悪化が見られたものの、こちらも材料視されませんでした。中国が春節入りしている中で、トランプ大統領の一般教書演説が予定されていることもあり、基本的には様子見の動きとなりました。

一方、英・1月サービス業PMIは市場予想51.0から50.1に悪化したことを受け、ポンドは下値を拡大しました。同指標水準が約2年半振りの低水準であること、また、EU報道官がメイ英首相が7日にブリュッセルでユンケル欧州委員長と会談すると発表しており、交渉難航を懸念する動くも強まり、ポンド円は欧州時間では143円台での動きでしたが、NY時間では142円付近まで値を崩しています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

上述したように、メイ英首相が7日にブリュッセルでユンケル欧州委員長と会談することが発表されましたが、その後の会見でメイ英首相が対北アイルランド、保守党、DUPに関する従来と同様の内容を話すとポンド売りが活発化しており、これまで通りの内容を繰り返すようなことになれば、市場は先行き不透明感を強め、ポンド売りが加速しそうです。あくまで会談予定だけが発表されただけで、その後の記者会見などの時間は不明となっています。

本日の東京時間に急落した豪ドルについては、ロウRBA総裁が「現在の政策金利見通しは一段と均衡している」、「政策金利を近く変更する強い根拠は見当たらない」と発言したことが背景にあります。もともと同総裁は昨年末に「次の金利変更は利下げではなく利上げ」と発言したことで豪ドルの買いが強まっていましたが、この発言により利上げ期待は大幅に後退したことから豪ドル売りが加速しています。中国が春節入りしていることで、流動性が低いことも、豪ドルの下押しスピードを速めています。

注目されていたトランプ大統領の一般教書演説では、「国境の壁は作る」、「中国は何年にもわたり、米国を狙って知的財産を盗んでいる」、「中国との交渉は不公平な貿易をやめさせ、米国の貿易赤字を減らし、米国の雇用を守ることも含まれている」と従来の方針から逸れることない内容だったこともあり、110円を挟み更なるドル買いを進めるか、110円での上値の重さを重視した売りを行うかの選択で、一旦ショートの方に傾いたようです。

ユーロドルは1.1410ドルで利食い、今度は豪ドルの戻り売り戦略

1.15ドルでのショートは、狙い通り1.1410ドルにて利食い、手仕舞です。イタリアのリセッションが意識されるかと思いましたが、それ以上にドル、ポンド、そして豪ドルの動きがマーケットの中心になっています。引き続き失望の豪ドル売りが強まることを想定し、79.00円付近まで引き付けての戻り売り戦略。利食いについては、昨年末の反発ポイントである77.50円付近、損切りは本日の急落前の水準である79..60円付近で考えています。

海外時間からの流れ

前日寄稿させて頂いた通り、豪中銀(RBA)、ロウRBA総裁の声明は昨年末に利上げ期待を持たせた内容とは程遠いものになりました。市場の失望も大きく、目先豪ドル売りが強まっています。豪ドル円では77.50円付近から反発したこともあり、この水準が目先の目標となるのではないでしょうか。

今日の予定

本日は、独・12月製造業受注、米・11月貿易収支、加・1月Ivey購買部協会指数などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。