前日の欧州時間では、独・12月製造業受注が市場予想+0.3%に対して-1.6%になったことから、欧州経済を牽引するドイツ経済への懸念が強まり、ユーロ売りが強まりました。ユーロドルでは、目先のサポートとして意識されていた1.1400ドルを下抜け、1.1350ドル台までユーロ売りになっています。一部報道にて、「欧州委員会は7日発表の経済見通しで2019年の伊成長率見通しを1.2%から0.2%に下方修正する可能性」との報道、またその報道を裏付けるかのように国際通貨基金(IMF)が「2019・20年の伊成長率見通しは1%以下」との見解を示したことにより、引き続きユーロの上値が意識されそうです。

前日も記載させていただきましたが、豪ドルが急落した要因としては、ロウRBA総裁が「現在の政策金利見通しは一段と均衡している」、「政策金利を近く変更する強い根拠は見当たらない」と発言したことにあります。2018年末に、利上げ方向を示唆していた同総裁の発言を考えると、ニュートラルな立ち位置から利下げ方向へ舵を切りだしたことと同じインパクトを市場に与えていると考えていいでしょう。当面、豪ドルを積極的に買い進める可能性は低いと考えられます。

英国のEU離脱案については、トゥスクEU大統領は「EUとして英国に新たな提案はしない」としたうえで、「合意なき離脱を推進するグループには地獄の特別な場所がふさわしい」と英国の強硬離脱派を強烈に批判しました。メイ英首相との再交渉はほぼ前進がないと考えた方がよさそうですが、「合意なき離脱」、最低限ここを回避できるまでの話し合いができれば、ポンド売りも小休止すると考えられます。理由は違えど、上述したユーロ、豪ドル、そしてポンドについては、現状上値が抑えられやすい通貨であると考えています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

ドル円については、3営業日連続で110円台を回復しているものの、前日は2/5の高値とほぼ同水準である110.049円まで上昇したものの、その後は上値が重くなってきており、110円台では戻り売り戦略というイメージが付いてきています。日経平均株価についても、21,000円の壁が意識されており、ドル円と日経平均株価、双方が上値の重さを認識しだすと、特段材料がなくても次第に反落する動きになりそうです。

前日のタイトル通り、豪ドル円の下落目標は77.50円になると考えています。ただ、あくまでドル円が110円付近でのもみ合いが続く想定での見通しであるため、ドル円が軟調に推移するようであれば、77.00円割れの水準も十分可能性としては考えられます。

豪ドルが利上げ方向からニュートラルな立ち位置へ変更したことにより、今度はNZドルの動きに注目が集まります。本日早朝に発表された雇用統計において、失業率、就業者数ともに悪化したことから、下落の動きを強めており、豪ドルと同じ推移を辿る可能性が出てきました。既に、「インフレ見通しに対する上方向のリスクが存在」「成長見通しに対する下方向のリスクは依然としてある」と豪ドルほど強気な姿勢ではありませんでしたが、状況によっては大きくNZドルが売られる可能性があります。注目の金利発表は13日に行われます。

豪ドルとNZドル、伸びしろ優先でNZドルショート戦略

想定通り豪ドル円は下落したものの、戻り待ちに戻りなし、理想とする水準(79.00円)までの戻りはありませんでした。前日の豪ドルと似た材料で似た動きをしているのがNZドルです。こちらも上値が重くなることが想定されるので、豪ドル、NZドル、どちらのショートも面白そうですが、NZドルの方が伸びしろがありそうです。74.50円付近での売り戦略、利食いについては、長らくサポートとして意識されている72.50円付近、損切りは下落前の水準である75.10円上抜けとします。

海外時間からの流れ

豪ドル同様にNZドルの地合いが弱くなってきており、売りが加速しています。13日に予定されている金融政策決定会合後の声明においてハト派に転換する可能性が指摘されており、潜在的にNZドルは売られやすい通貨になっています。

今日の予定

本日は、独・12月鉱工業生産、英中銀(BOE)政策金利、米・新規失業保険申請件数、メキシコ中銀政策金利発表などの経済指標が予定されています。また、本日はスーパーサーズデーとなるため、カーニー・英中銀総裁の定例会見が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。