アップル(NASDAQ:AAPL)株価は10月に最高値を記録した以来約30%下落したが、1月末の2019年第1四半期決算において強い回復を見せている。

決算報告の後に約10%上昇しており、投資家はテクノロジーセクター株において過去3ヶ月で最も下落した銘柄の一つである同社への期待が高まる。

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(画像=Investing.com)

投資家は、同社がiPhone以外の事業で成功しているため減少しているiPhoneの売上高をその事業によって補完できると考えるようになった。また、iPhoneの売上高は現在も同社の売上高総額の60%を占めている。

2018年第4四半期においてiPhoneの売上高は15%減少したが、iPadの売上高は17%上昇、ウェアラブル端末や関連製品の売上高も33%上昇、またサービス事業も年初来で19%の成長を見せた。これらの事業の売上高の合計は第4四半期において過去最高であった。

iPhone以外の事業拡大の必要性

同社の課題は明確である。主要事業であるiPhoneの売り上げが低迷している今、成長を続けるためには早急に収益基盤を多様化しなければいけないだろう。

この課題は間違いなく困難であるが、同社にとっては解決できないものではないと考えられる。同社は巨額のキャッシュを保有し、技術革新によって消費者の心をつかんできたという業績を持つからだ。

第1四半期決算報告によって、同社はすでに収益多角化へと向かっていることがうかがえる。例えば、市場調査や開発に39億ドルの資金を投じており、対前年比で15%の増加である。また、同社は2019年第1四半期において営業経費が対前年比約14%増加するだろうと述べている。

iPhone以外の事業を拡大するため、同社は利益の低下を覆す可能性のある製品を多く提供している。CNBCとのインタビューにて、ティム・クックCEO(最高経営責任者)は、今年新たに提供される重要なサービスについて今後発表すると述べた。

同氏は、その新たなサービスは同社が「過去数年間に渡り計画してきた」ものだと言う。同社はアップルウォッチからの収益化に成功しており、ヘルスケア部門を拡大するため多くの医師を雇うなど、近年ヘルスケア部門に投資している。

クック氏は、「仮に未来へ行き、過去を振り返って「アップル社が人類へもたらした最大の貢献は何だった?」と聞けばその答えは人類の健康になるだろう」とも述べている。

また、2019年に新たな事業を始める可能性のある部門としては、メディア関連部門がある。その中で、動画配信サービス、アップルミュージック、ニュースアプリのTextureなどにおいて新事業を始める可能性があるだろう。新たな事業が始まれば、同社のハードウェア製品の魅力は高まり、iPhoneの売り上げを回復させることも可能であろう。

今後同社の成長する可能性のある取組みとしては、インドなどの賃金が低い国に向けた低価格のiPhoneの開発がある。現地の顧客ニーズに合わせたiPhoneによって市場へ参入できれば、同社の全市場へ向けてiPhoneを提供するという戦略は達成され、新たに多くの可能性が生み出されることになるだろう。

インドでiPhoneはスマートフォン市場の1%にも満たず、そのような市場に向けて低価格帯iPhoneが開発途中であると聞いても驚くようなことではないだろう。

要点

マクロ経済的環境がとても不安定であること、高成長している株価に対して投資家が不安感を高めていることを考えると、アップル株価が今後も続騰できるのかどうかを予測するのは難しいだろう。だが長期投資家であるならば、同社は資金的にも技術的にも現在のiPhone売上低下を克服できる能力を持っていることを覚えておいた方がいいだろう。これらを考慮した上で同社に投資するならば、日々起こる市場の混乱によって不安になることはないだろう。(提供:Investing.comより)

著者:ハリス アンワル