相続税は、原則として相続・遺贈により財産を取得した個人が、相続税の納税義務者となります。
では、相続人が海外に居住している場合などには相続税の納税義務者はどうなるのでしょうか?相続税法では、納税義務者はその財産の取得者の相続開始時点の住所等に応じて以下の通りに区分され、この区分に応じて相続税が課税される財産の範囲が定められています。
(1)居住無制限納税義務者
(2)非居住無制限納税義務者
(3)制限納税義務者
法施行地に住所を有する個人の場合(1)に該当することとなります。このとき、取得した財産の所在を問わずに納税義務を負うこととなります。
反対に、法施行地に住所を有しない個人の場合には、(2)及び(3)に該当することとなります。
(2)(3)の区分は次の事項により区分されています。
①財産の取得者が日本国籍を有していること
②財産の取得者又は被相続人が相続開始前5年以内に法施行地に住所を有していたことがあること。
まず、①②いずれにも該当する場合、(2)の非居住者無制限納税義務者となります。このとき、取得した財産の所在を問わず納税義務を負うことになります。
そして、①②のいずれか一方でも該当しない場合には、(3)の制限納税義務者となり、法施行地に所在する財産を取得した場合にのみ納税義務を負うことになります。
つまり、(1)(2)に区分される納税義務者の場合、相続又は遺贈により取得した財産の全部が相続税の課税の対象となり、(3)に区分される納税義務者の場合、相続又は遺贈により取得した財産で法施行地にあるものが相続税の課税の対象となります。
(提供:チェスターNEWS)