フィンテック(Finance + Technology)によって大きな変化の時を迎えている金融業界ですが、近年「ネオバンク」と呼ばれるフィンテックベンチャーが注目を集めています。海外におけるネオバンクの動向と、日本の現状とこれからについて解説します。

海外で影響力を増す「ネオバンク」とは?

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(写真=J.Score Style編集部)

「ネオバンク」が近年脚光を浴びています。銀行業の登録をせずに決済をはじめとしたさまざまな金融サービスを提供する、フィンテックサービスを行う企業をネオバンクと言います。

ネオバンクのほかに「チャレンジャーバンク」という言葉がありますが、銀行業の登録を行ったうえで、最新テクノロジーを活用し、従来の銀行と同じサービスを提供するフィンテックベンチャー等のことをチャレンジャーバンクと言います。

海外では、預金・融資・為替の銀行三大業務においてそれぞれの分野でネオバンクが台頭している様子が見られます。

預金……Simple、Digit など
融資……Lending Club、Affirm、OnDeckなど
為替……Venmo、Dwolla、TransferWise など
その他……Credit Karma、Moven など

Variant Market Researchが2018年1月に発表した「Neo and Challenger Bank Market (By Bank Type: Neo Bank, and Challenger Bank; By Country: (U.S, UK, Germany, China, and Australia) Global Scenario, Market Size, Outlook, Trend and Forecast, 2016 – 2025)によれば、ネオバンクとチャレンジャーバンクの市場規模は2017年から2025年にかけて45.8%の年平均成長率で推移し、2025年には3億6,600万ドルに達すると予測されています。

もちろん、既存の銀行もネオバンクの台頭をただ傍観しているだけではありません。スペインに本社を置くBBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)はフィンテックベンチャーへの投資や買収に積極的な銀行のひとつで、公表されているものだけでも2014年以降に6社を買収しています。事業提携も活発に行っており、独自の審査モデルで融資を行うOnDeck社や個人間送金サービスを提供するDwolla社と提携しています。

日本におけるネオバンク、鍵となる改正銀行法

実は日本でも、ネオバンクのようなフィンテックベンチャーが既にいくつか存在します。2018年6月に改正銀行法が施行され、日本でも海外のフィンテック企業のような企業が生まれやすい環境が整っているのです。この改正銀行法のポイントは、銀行にオープンAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)公開の努力義務を課している点です。このAPIを利用することで銀行免許を持たないフィンテックベンチャーでも銀行の持つデータを活用することができるようになったのです。

銀行とフィンテック企業や通信会社等との事業提携や協業が徐々に増えているのも、従来の銀行にはなかった新しい方法に銀行がチャレンジしているからです。また、フィンテックベンチャー側の視点で考えると、お金のことをより身近に感じられるようなUI(User Interface/ユーザーインタフェース)、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)やコンセプトを軸に銀行が持つ力を借りてシェアを拡大しています。銀行でもキャッシュレス決済やロボ・アドバイザーなど、今までなかったものが徐々に浸透していくかもしれません。

わたしたちの生活はどのように変わるのか

上述した通り、ネオバンクが台頭すれば私たちの生活はより豊かになる可能性を秘めています。豊かさとは、単純に資産が増えることだけを意味するのではなく、支払いのスムーズさや、現金を介さず売買できることなどが含まれるかもしれません。また、紛失や盗難のときにサービスの利用停止がしやすいのも特徴です。

2018年はキャッシュレス決済が盛り上がりましたが、2019年はキャッシュレス決済に向けて本格的に信用スコア(個人の持つ信用度の数値化)に参入する企業が増えそうです。そこから生み出される「スコア」によって、私たちの信用のあり方は変わっていくはずです。こういったサービスが銀行と協業する企業や新たなフィンテックベンチャーから生まれることで、新たな概念が世の中に広がる日は近いかもしれません。(提供:J.Score Style

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