中古、購入価格低く、新築より高い利回り、耐用年数が短く、想定外のコストがかかることも

一方、中古物件×リノベーションのメリットですが、購入価格が低いので利回りが高く、リノベーションを施してその分費用が加算されても、新築物件よりはコストをおさえられるということがあげられます。新築物件と同条件(立地、構造、間取り)の場合、新築物件に比べ3~4割も安くなるケースもあるそうです。また、リノベーションを施すことで、機能やデザイン性が向上し、既存価値を高めることができるのも中古物件ならではの特徴と言えます。物件の数や種類が豊富なため、条件面で妥協せずに納得がいく住宅を探せることも大きな魅力です。これに対しデメリットですが、リノベーションを施した中古物件であっても、耐用年数は新築物件より確実に短く、老朽化に伴う修繕工事などにより想定外のコストがかかることもありますので、この点は注意が必要です。


短期間の資産運用は中古物件が有利、20年以降は新築物件が有利

では、立地、間取り、構造が同じA「新築物件2500万円」とB「築20年の中古物件×リノベーション1500万円」の利回りを比較してみましょう。購入資金はABとも20年の全期間固定金利型(段階金利を含む)のフルローンで元利均等3%とします。

A「物件価格が2500万円、年額想定家賃収入が180万円」で、管理費や固定資産税、修繕費などの諸経費が39万円(年間)だとすると、初年度の実質利回りは5.64%となりますが、ローン金利による利回りのマイナス分を含めると2.64%になってしまいます。家賃を20年間据え置いた場合、20年間は2.64%の収益はありますが、万が一、家賃の値下がりや空室状態が出れば、赤字になってしまう可能性もあります。

B「築20年の中古物件×リノベーション1500万円」では年額想定家賃収入が120万円、諸経費を14万円(年間)だとすると、初年度の実質利回りは7.06%となり、ローン金利による利回りのマイナス分を含めると4.06%になります。初年度の利回りはAの物件より高いですが、すでに築20年の中古物件になりますので、家賃を据え置くのは難しいですから、家賃が毎年1%ずつ下落すると考えると、B物件を取得してから20年後には年額想定家賃収入が約100万円となり、ローン金利による利回りのマイナス分を含めた実質利回りは2.67%となります。

ABの物件を比較すると、物件取得後の20年間はB物件の方が稼げますが、建物の耐用年数40年と設定した場合、B物件はローンを支払い終わるころには建物が寿命を迎えてしまいます。一方、A物件は利回りが低いので、ローン返済時に自分の資金を投入するケースも考えられますが、ローン返済終了後、家賃が毎年1%ずつ下落すると想定しても、耐用年数は20年残っていますから、ローン返済終了後には高い利回りで運用することができるでしょう。


中古物件を選ぶ第一の基準は「新耐震設計法」施行以後の物件

確かに利回りは物件選びの基準にはります。しかし、取得費が安く、利回りが高い物件は耐用年数が短かく、駅から遠いなど何かしらの理由が存在しています。特に中古物件を選ぶ際には「新耐震設計法」施行以後の物件を選ぶことをおススメしたいと思います。この基準で建てられた建物は震度6強以上の地震でも倒れない住宅を前提としているため、万が一、大きな地震が発生した場合でも、被害を免れる可能性があります。情報収集をかかさず、専門家の意見も聞き入れながら、堅実な不動産投資を目指したいものです。

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