日本株ストラテジストとして長年、投資家から評価されてきた藤田氏は、これからの日本経済や株相場がどうなると見ているのだろうか。藤田氏は2018年秋に著書『バブル経済とは何か』(平凡社新書)を上梓。日本経済について「一つの相場は終わった」としたうえで、今後については厳しい見立てを隠さない。同様に『フィンテック革命の衝撃』なる著書も持つ藤田氏の、フィンテックへの期待と評価についても聞いた。(インタビュー/構成・濱田 優 ZUU online編集長、撮影・森口新太郎)

(取材は2019年2月上旬に行われました)

目次

  1. なぜバブルが高頻度で発生するようになったのか
  2. 「母をたずねて三千里」に見る国の変化/日本人が海外に出稼ぎに行く時代
  3. フィンテックで敢えて可能性がある分野を挙げるならこれだ

なぜバブルが高頻度で発生するようになったのか

藤田勉氏特集
(画像=ZUU online編集部)

――藤田さんといえば投資家、市場からの評価の高い日本株のストラテジストとして知られています。現在の状況の中で、日本経済や投資環境についてどう見ていらっしゃいますか。これから相場はどうなっていくのでしょうか。

長年、30年以上も投資の世界にいたわけですが、将来のことは誰にも分かりません。私も明日の相場がどうなるかは分かりません。

しかし投資の世界で経験を重ね、さまざまな相場を見る中で、いろいろな法則性が見てきます。その一つが「10年に一回バブルがやってくる」というものです。これは昨年2018年に『バブル経済とは何か』(平凡社新書)としてまとめました。1989年の日本の資産バブル、2000年のITバブル、07年の米国住宅バブル。やはりバブルは10年に一度やってくるとみていいでしょう。

――ここ数年の株高や不動産価格の高騰から、「バブル」への注目は高まっていました。

そもそもバブルとは金融資産や不動産価格が実質的価値から大きく乖離して上昇し、それが長い期間にわたって持続することで発生します。つまり資産価格が過度に高い状況が長引くと、消費を刺激するという「資産効果」が発生します。そして投資が過剰になり、実力よりも高い経済成長率が、景気が過熱させるわけです。その景気の過熱が株式や不動産市場に影響する……。

一口にバブルといっても毎回、形が変わっていますし、そもそもその最中にあってはバブルが発生していることは認識できないものです。グリーンスパン氏も「バブルは崩壊して、初めてバブルと分かる」と述べています。ただ崩壊しないバブルもありませんが。

現状について言うと、昨年9月に一つ相場が終わったと見ています。2009年の安値から18年の高値まで、8年10カ月の間に日本株は日経平均で3.4倍となり、米国株はS&P500をみると4.2倍になっています。

藤田勉氏著書『バブル経済とは何か』
(画像=Webサイトより、クリックするとAmazonに飛びます)

――バブルといえば日本の不動産バブルもですが、古くは17世紀のチューリップバブルが思い起こされます。それ以降、さすがに10年に一度というハイペースではなかったと思いますが、それが今は10年に一度になっている。それはなぜなのでしょうか。

たしかに20世紀をみると、1920年代に起きた米国のバブル以降、日本の80年代のバブルにまで、半世紀以上にわたって目立つバブルは発生していません。