前回、歴史に学ぶことの重要性を力説した藤田氏。著書でも同様の内容を繰り返し説いている。それは相場の先行きを読み解くためだけではなく、混迷を深める時代にビジネスパーソンが望み通りのキャリアを築くために欠かせないことといえそうだ。その重要性について、トランプ米国大統領の政策と言動の裏側や背景の分析を指摘してもらった。(インタビュー/構成・濱田 優 ZUU online編集長、撮影・森口新太郎)
(取材は2019年2月上旬に行われました)
トランプ大統領の「国境に壁を造る」主張の正しさは宗教史を学べば分かる
――日本経済にとって重要な存在として米国が挙げられますが、トランプ大統領の政策や言動には世界中が振り回されているように思います。藤田さんはどのように見ていらっしゃいますか。
たとえばトランプ大統領は「メキシコとの国境に壁を造る」などと主張していますが、多くの日本人は「何をそんなバカなことを」と思っているでしょう。しかし、これはある意味で極めて正しい戦略です。考えるべきは、壁の建造の是非ではなく、トランプ氏の政策や主張が、誰に向けた、どういう意図を持ったものかということです。トランプ氏の狙い、行きつく先は自身の再選ですが、その実現につながるかどうかという観点で考えると、この主張は正しいといえるのです。
大多数の日本人の常識からしたら実に非常識かもしれませんが、歴史や宗教、米国の政治制度や慣習を考えれば、これが正しいと言る。それらの知識の有無が判断を分けるのです。
――なるほど。米国の現状を知り、トランプ大統領の主張・政策を正しく評価するために、その歴史をどれくらい遡ればいいのでしょうか。
米国は建国からの歴史はそう長くありませんし、それこそどういう国の成り立ちをしているか、というところから見ておいたほうがいいでしょう。それには宗教、つまりキリスト教の歴史を遡ることが欠かせません。歴史は見方によって解釈も異なりますが、小異はさておいて概観していきましょう。
キリスト教はユダヤ教がルーツで、語弊があるかもしれませんが、これをよりソフトにしたようなものです。ソフトにしたがゆえに広まり、世界中で信者を獲得したわけです。ただその後に堕落もあって、カトリックとプロテスタントに分裂することになります。