リーマンショック前のミニ不動産バブル

みずほ信託銀行が発行している不動産マーケットリポートの2014年4月号によると、J-REITが保有する物件に限ったNOI評価額利回りですが、オフィスに関しては2014年3月の時点で4.6%程度、住宅に関しては5.4%弱程度となっており、いずれも今後緩やかな低下が見込まれています。オフィスに関しては2010年3月に5.4%を超えている程度の水準から緩やかに低下してきています。

NOI評価額利回りは分子に家賃と費用、分母に物件の時価が来るわけですから、評価額が変わらず家賃が低下した場合、家賃が変わらず評価額が上がった場合、評価額の上昇率が家賃の上昇率以上だった場合にはNOI評価額利回りは下がることになります。現在、オフィスビル家賃には下げ止まり感が出てきていますから、物件の時価が上がってきているということは、このNOI評価額利回りでもわかります。

では、景気に敏感であるオフィス市況のNOI評価額利回りが4.6%程度とはどのようなものなのでしょうか。リーマンショック(2008年9月)前の不動産ミニバブルの頃のオフィスのNOI評価額利回りは4・8%を切る程度の水準でした。ということは、それを下回る今の状況はNOI評価額利回りだけでみると、不動産ミニバブル期水準ということもできます。


利回りは何%?

ただ、リーマンショック前と様子が違う数値があります。それは長期国債(10年物)新発債利回り(長期金利)です。現在、長期金利は0.5%程度の水準にあり、0.5%を割り込む日もあるような状況です。一方、リーマンショック前の2008年秋ごろまでは1.5%前後で推移していました。つまり、今と比べると約1%も高かったわけです。

J-REITを始めとして、不動産投資を行う事業者は効率的な運用の観点から資金調達を行って、物件の取得をします。そのため、調達金利に影響する長期金利は重要な要素となってきます。先ほどのNOI評価額利回りも考慮してみると、リーマンショック前は「約4.8%(NOI評価額利回り)―約1.5%(長期金利)=3.3%」となり、現在は「約4.6%(NOI評価額利回り)―約0.5%(長期金利)=4.1%」となっています。

全額を借入している、及び長期金利で借りている、わけではないので、この運用利回りがそのまま当てはまるわけでなく、あくまで目安にしかすぎませんが、調達金利のことまで考えた運用利回りを見ると、現在はまだ不動産ミニバブル期の状況まで達していないと言えるのです。


バブルとは何なのだろうか。

さて、オフィスのNOI評価額利回りだけでみると不動産ミニバブル期と同様であっても、そこから長期金利を差し引いてみると、まだ不動産ミニバブルとは異なった状況であるということがわかりました。これは保有によりインカムゲインでまだ運用が成立するという状況だとも言えます。このインカムゲイン目当てがキャピタルゲイン目当てのみになった場合には注意が必要です。

将来の値上がりのみを期待して、不動産を購入する、そしてそのために資金調達をするという循環が見られるようになったときには不動産バブルに使ってきていると言えるのではないでしょうか。NOI評価額利回りが急激に下落し始めた時期にはバブル期に入っているという可能性もあります。

また、バブルは多くの人の楽観の中で起こるものです。ここでは、不動産の運用利回りからバブルの可能性を考えてみましたが、VIX指数(ボラティリティ・インデックス、別名「恐怖指標」)など他の指標も参考に、自分なりに今後の相場観を予測していくことが重要です。

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