ここ最近の車載機器市場の動向

車載情報システム(In-Vehicle Infotainment System)(*以下、IVIシステム)製品市場全体の総出荷量は2013年に2328万台となっており、2014年には2689万台へと拡大する見通しと言われています。製品別にみると2013年にはカーナビゲーションが約53%を占め、ディスプレイオーディオが約47%を占めました。

ディスプレイオ−ディオは地図情報をスマートフォンから取得することで低コストに抑えたモデルが注目されており、スマートフォンとの連携により、カーオーディオの枠組みを超えた製品が生まれています。

車載カメラも北米では搭載が義務づけられるなど、外的な要因変化により需要が見込まれる製品もあります。車載カメラも周辺機器との親和性が高く、自動車メーカーが展開するテレマティクスサービスにおいても、カーナビに代わってディスプレイオーディオを搭載するケースが増えています。

こうした背景からディスプレイオーディオ市場がカーナビを上回るような成長を見せる可能性があるといえるでしょう。


注目の車載機器関連銘柄

ここ最近注目を集める車載機器関連市場ですが、現在の大手であるパナソニックやシャープ以外にもその次世代技術である自動運転や、先にあげた車載カメラといった車載機器において注目銘柄される銘柄があります。その注目銘柄をピックアップしていきます。

デンソー< 6902 >:自動車部品大手であるデンソーも積極的に自動運転関連技術の開発を行っています。5月に開催された自動車の技術展である「人とくるまのテクノロジー展 2014」で未来のドライブを体感できる「インタラクティブ・コミュニケーション・コクピット」を展示し、20年頃に想定できるドライブを表現するために、愛知県内の行動で自動運転支援システムの実証実験を行っており、自動運転である次世代技術についても先行する企業といえます。

クラリオン< 6796 >:カーナビ、カーオーディオメーカーであるクラリオンですが、車載機器のシステムや運転支援など次世代型の走行機能部における技術の先行投資が奏功し、独自のカメラシステムが自動車の安全対策と評価されています。親会社である日立との連携も容易であることから、事業領域が今後さらに拡大する可能性も高く、三菱UFJモルガンスタンレー証券がアウトパフォームのレーティングと500円の目標株価を付けています。業績も15年3月期の連結営業利益が前期比で37.8%増の72億円と予想。後半から新規案件が寄与する16年3月期は102億円と拡大し、17年3月期には13年ぶりの最高益を達成する可能性が高いとみられています。


車載関連市場の課題と今後の展望

スマートフォンやクラウド技術の進歩により車載情報機器も、同様の高いユーザビリティと技術水準が求められるようになっており、コックピット全体に広がる周辺機器とのパーティショニングの技術などが重要になってくると言われております。

マルチメディア、メーター、HUB、それぞれのディスプレイの制御をどのようなハードウェアとソフトウェアの構成で実現するかなど、サイズやコスト面で最適化しながら安全性とユーザビリティを確保できるかが現在の課題となっており、こうした点を容易に解決できる要素技術をもったテクノロジーにも今後注目が集まるといえるでしょう。

現在は海外大手テクノロジー企業が主導する車載関連のソフトウェア技術も、それに対応するためにLinixなどのオープンソース環境をプラットフォームとしたプロジェクトなどが立ち上げられており、それに搭載されるモジュール開発など同市場はさらに技術革新が進むものと思われます。

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