ゲストはミュージシャンから「ユーチューバー」に

いっぽうで「健全で優しい」と聞くと、最近の学園祭は“ただ真面目になったのか”と考える人もいるかと思いますが、そうではありません。

学園祭はハレの日とばかりにダンスやコスプレイベントも盛んで活気があるし、コスプレをして校内を歩く学生も多数いて、にぎやかで楽しいことに違いはありません。要するに、学生たちの発散の仕方が変わってきたのだと思います。

私の学生時代は派手にハメを外すのが学園祭の醍醐味でした。催し物も大物ミュージシャンを呼んで盛り上がり、酒を一気飲みして騒いで池にダイブしたり、道路で寝てしまうなんて人も少なくありませんでした。

しかし、今はそんな学生は圧倒的に少ないのです。カラオケに行ったりコスプレすることくらいで発散できてしまう。実行委員会が招くゲストも、自分たちにとって身近な存在が求められているのか、ユーチューバーが呼ばれるケースが近年は増えています。

「オタク化」する学園祭

先ほど言ったコスプレなんて、昔のようにウケ狙いで変なお面をかぶるわけでなく、本当に精巧でクオリティが高いコスプレをしています。彼らに寄っていって「一緒に写真を撮らせてください!」なんて頼んでいる人もよくみかけました。

要は、わかる人にだけわかる世界なのですが、それはこだわりにこだわって自分の世界観を体現しているのです。

この「オタク性」もいまどきの大学生の特徴のひとつです。そうやってハレの日を自分たちで演出している。

とくに理工系の大学ではイベントが多く、オタク文化の根づきが一般化しており、周囲も受け入れている印象を受けました。

バンドサークルが演奏する楽曲も、昔はヘビメタやハードロックが多かったのですが、今はアニメソングが中心になっています。

学生の多くは真面目で保守的なので、学園祭やハロウィンの時だけ仮装して変わってしまう学生を見て、「アイツあっちに行っちゃったよね」とどこか冷静に見ているふしもありますが、他人に対しての意識はその程度のもので、特に軽蔑することもありません。