「令和」最初の月となった5月、日経平均株価は下落局面となりました。米中通商協議が暗礁に乗り上げたことに加え、トランプ米大統領はメキシコからの輸入にも関税賦課を示唆しています。

そうした中、株式市場は6月を迎えます。6月は109銘柄で株主優待の権利が確定します。「決算月」としては3月ほどではないにせよ、12月決算の企業もかなりあり、その「中間決算期末」に当たる6月には多くの企業で株主優待や中間配当の権利が確定します。投資家の関心度が「トップクラス」の株主優待銘柄も含まれています。株主優待の権利を享受しつつ、中長期での株式投資を指向している投資家にとってはむしろ、現状の株価下落局面は投資好機と映るかもしれません。

そこで今回の「日本株投資戦略」は、6月に権利確定が予定されている株主優待実施銘柄をご紹介したいと思います。投資家の関心が強い株主優待実施銘柄をふるいにかけ、好業績が期待され、その分株価下落リスクが小さいと思われる株主優待実施銘柄をご紹介したいと思います。分散投資を行いやすいよう、株主優待の権利獲得に必要な最低投資金額が30万円未満の銘柄から選んでみました。

日株戦略特選「30万円で買える好業績の6月株主優待銘柄」はコチラ!?

日本株投資戦略,株主優待銘柄
(画像=PIXTA)

それではさっそく、「30万円で買える好業績6月株主優待銘柄」を抽出してみたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りとなっています。

(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額100億円以上の銘柄であること
(3)当社WEBサイトの株主優待検索ページで「優待権利確定月」が6月の銘柄であること
(4)一定の条件を満たした好業績銘柄であること(後に詳細をご説明します)
(5)株主優待の獲得に必要な最低投資金額が30万円未満であること
(6)継続企業の前提に関する重要な疑義が指摘されている銘柄ではないこと
(7)株主優待の獲得に際し、保有期間等の制限が設けられていないこと

これらの全条件を満たす銘柄を、当社株主優待検索ページにおける「閲覧回数順」で、同回数の多い順に並べたものが表1となります。日本株投資戦略では、これらの銘柄を「30万円で買える好業績の6月株主優待銘柄」としてご紹介したいと思います。

なお、(4)については原則、四半期決算で営業利益(累計)が黒字で、前年同期比で増益になっている銘柄としました。減益になっている銘柄については、減益率が10%未満にとどまり、その減益率が通期予想減益率(会社発表値)よりも小さい銘柄については残すこととしました。こうした銘柄は、通期予想営業利益で下方修正されるリスクが小さいと考えられます。

今回のスクリーニングについては、投資した銘柄の値上がりを狙うことを第1の目標として、条件を決めた訳ではありません。あくまでも、主役は「株主優待」です。ただ、業績に不安が多く、値下がりのリスクが大きいようでは、株主優待を楽しむことは難しいと考え、一定の業績への配慮も行っております。

ちなみに、東洋ビジネスエンジニアリング(4828)は3月決算銘柄でありながら、6月に権利確定月となる例外的な存在です。同社は3月、6月、9月、12月の年4回、月末に株主優待の権利確定を行っているためです。同社の2019年3月期は前期比59.6%の営業増益で、2020年3月期は10.0%の営業増益が見込まれています。好業績銘柄として(4)の条件を満たしたことにしてよいと考えました。

なお(5)について金額を30万円にしたことにより、結果的に最低投資金額が最高の銘柄でも25万円となり、100万円の投資金額でも4銘柄に分散投資できる計算となります。株主優待に関心のある投資家は比較的、投資経験の浅い方も多く含まれているようですが、そうした投資家の方に、なるべくリスク分散しやすい銘柄を選択することは有用なことであると、日本株投資戦略では考えています。

日本株投資戦略,6月株主優待銘柄
(画像=SBI証券)

表1:日株戦略特選「30万円で買える好業績の6月株主優待銘柄」はコチラ!?
コード / 銘柄 / 株価(5/31) / 1株当たり配当金(円)6月末 / 1株当たり配当金(円)年間予想 / 最低投資単位での株主優待内容の概要(6月)
<2418> / ツカダ・グローバルホールディング / 609 / 5.00 / 10.00 / クオカード500円、宿泊・飲食割引
<3197> / すかいらーくホールディングス / 1,918 / 9.00 / 19.00 / 飲食代割引カード3,000円相当
<2914> / 日本たばこ産業 / 2,492.5 / 77.00 / 154.00 / 自社グループ製品1,000円相当
<2904> / 一正蒲鉾(6) / 1,116 / 7.00 / 7.00 / 自社製品詰合せ1,000円相当
<5959> / 岡部 / 962 / 14.00 / 28.00 / クオカード500円相当
<3085> / アークランドサービスホールディングス / 1,917 / 10.00 / 20.00 / 食事券550円×2枚
<4828> / 東洋ビジネスエンジニアリング(3) / 2,150 / 0.00 / 38.00 / 500円相当のクオカード
<3196> / ホットランド / 1,565 / 0.00 / 5.00 / 株主優待券1,500円相当
<2180> / サニーサイドアップ(6) / 1,931 / 10.00 / 10.00 / メニュー2品・ドリンク2品無料券
<4221> / 大倉工業 / 1,717 / 0.00 / 55.00 / 宿泊優待券1冊
<3457> / ハウスドゥ(6) / 1,340 / 31.00 / 31.00 / 1,000円相当ポイント付与

※当社WEBサイトの株主優待ページ、各社公表データ等を用いてSBI証券が作成。決算期は銘柄名の右横に(6)の記載がある銘柄は6月決算、同じく(3)の記載がある銘柄は3月決算で、それ以外は12月決算です。1株当たり配当金の「6月末」は6月決算銘柄の場合は期末配当(予想)で、12月決算銘柄の場合は上期実績となります。「最低投資単位での株主優待内容の概要」は、最低投資単位(ここではすべての銘柄が100株)で株主優待の権利を獲得した場合の優待内容の概要を示すもので、必ずしも株主優待のすべてを示したものではありません。株主優待の内容は上記から変更されている場合もあります。株主優待の内容は必ず、当該企業のWEBサイト等でご確認ください。なお、権利付最終日はすべての銘柄が6/25(火)です。

抽出銘柄の業務および株主優待のポイント

ツカダ・グローバルホールディング(2418)は結婚式場の運営やホテル、レストランの経営等を行っています。2019年12月期の第1四半期(2019年1~3月期)は営業利益が48百万円の黒字(前年同期は583百万円の赤字)でした。通期の営業利益としては55億円(前期比4.8%増)を計画しています。

6月末に100株以上を保有している株主に対し、500円相当のクオカードおよび自社グループ運営施設飲食・宿泊割引券1枚を贈呈しています。後者については、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知(名古屋)等で経営しているホテルやレストランで割引料金での利用ができます。

図1:ツカダ・グローバルホールディング(2418)・日足

図1:ツカダ・グローバルホールディング(2418)・日足
(画像=当社チャートーツールを用いてSBI証券が作成。)

すかいらーくホールディングス(3197)はファミリーレストラン最大手でガスト、ジョナサン、バーミアンなど多くのブランドを展開しています。4月末現在、全国に3,225店舗を展開。2019年12月期の第1四半期(2019年1~3月期)は営業利益が55億円弱(前年同期比1.2%減)でした。通期(2019年12月期)予想営業利益は220億円(前期比3.8%減)で、それとの比較では好スタートとなっています。

6月末に100株以上を保有している株主に対し、3,000円相当の飲食代割引カードを贈呈しています。300株以上の保有で9,000円相当、500株以上の保有で15,000円相当、1,000株以上の保有で33,000円相当の割引カードを贈呈しています。なお、12月末時点の株主も飲食代割引カードが贈呈されます。

図2:すかいらーくホールディングス(3197)・日足

図2:すかいらーくホールディングス(3197)・日足
(画像=当社チャートーツールを用いてSBI証券が作成。)

日本たばこ産業(2914)は食品セクター最大の時価総額を誇っています。国内企業のイメージを強く持っている投資家も多いですが、収益はロシアなど欧州の構成比が高いグローバル企業です。

6月末に100株以上を保有している株主に対し、1,000円相当の自社および自社グループ会社商品(食品等)が贈呈されます。200株以上では2,000円相当、1,000株以上では3,000円相当、2,000株以上では6,000円相当の贈呈となります。2019年7月以降は、権利確定月が12月のみになり、1年保有の前提が追加される予定です。

6月末に1株77円、12月末に同77円、年間で計154円の配当を予定しています。5月末株価での予想配当利回りは6.17 %と計算されます。

図3:日本たばこ産業(2914)・日足

図3:日本たばこ産業(2914)・日足
(画像=当社チャートーツールを用いてSBI証券が作成。)

ホットランド(3196)では、6月末に100株を保有している株主に対し1,500円相当、500株以上で7,500円相当、1,000株以上で15,000円相当の株主優待券が贈呈されます。「築地銀だこ」などグループ店舗で利用できます。

大倉工業(4221)では、6月末に100株以上を保有している株主に対し宿泊優待券1冊、1,000株以上で2冊、2,000株以上で3冊を贈呈しています。1冊は食事券1枚、宿泊優待券3枚、喫茶無料券1枚で構成されています。同社は、オークラホテル丸亀、岡山ビジネスホテルアネックス等の経営を行っています。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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