国民年金の保険料を滞納してしまっていると、日本年金機構から「早く支払ってください」という内容の手紙が届きます。特に、ピンクの封筒で届いた場合は要注意!放っておくと大変なことになってしまいますよ。
封筒の色は危険度によって違う
年金が未納状態になっていると、まず圧着ハガキで現状をお知らせする内容が届きます。未納になっていることを忘れている方や気付いていない方もいるので、まず思い出してもらうための軽い注意喚起のようなものです。
それをスルーしていると、その後「特別催告状」という書類が届きます。封筒が青色、黄色、ピンク(赤色)とあるのですが、その意味は信号と同じで、青色がまだセーフ、黄色が少し危ないけどまだなんとか大丈夫、赤色は危険、です。
ピンクの封筒の郵便物を無視してしまうと、最悪の場合、財産の差し押さえ処分を受けることもあります。必ず3種類の封筒全てを送ってくるというわけではないようですが、いずれにせよピンクが最終警告であることには違いありません。
特別催告状が届いたときの対処法
ピンクの封筒が届いてしまったとき、いちばんやってはいけないのは「無視」です。後述しますが、不幸しか訪れません。やるべきことは以下の4つのうちのいずれかです。
すぐに全額支払う
届いた書面の内容に従って、期日までに決められた方法で支払う、というのが最も理想的な方法ではあります。ただ、年金保険料数ヵ月分ともなると、まとまったお金が必要です。もし支払いが難しいという方は、次の3つを試しましょう。
分割払いで支払う
一括で支払うのが難しい場合、最寄りの年金事務所に問い合わせれば分割で支払うための納付書を用意してもらえます。未納期間のうち古いものから順に少しずつ納付していきましょう。
年金の「猶予」「免除」の手続きをする
所得が一定額以下で、分割でも支払いが厳しいなら「猶予」や「免除」を受けられます。この手続きをしておくと、保険料を支払えていなくても未納にはなりません。万が一のときに障害年金や遺族年金がもらえるようになりますし、「免除」なら老後の年金額にも(全額支払った人よりは少なくなりますが)反映されます。
全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、納付猶予などの種類があり、それぞれ適用できる所得額が決まっています。自分の年収ならどれが利用できるのか、年金事務所に相談してみましょう。
学生なら納付特例制度を
国民年金は20歳以上なら支払いの義務が発生します。でも、まだ学生の場合、金銭的に難しいこともあるでしょう。この場合も、申請すれば未納にはなりません。この「学生納付特例」は、夜間や定時制、通信課程の学生なども対象です。
特別催告状を無視し続けるとどうなる?
特別催告状が来たのに何の対処もしないままでいると、その後、最終催告状、督促状と順に届きます。延滞金や差し押さえなど不穏な単語が並び、どんどん強い文章になっていきます。
督促状の納付期限を過ぎてしまうと、延滞金(利子のようなもの)がかかって、支払額がさらに増えます。突然、年金事務所から委託されている民間企業から督促の電話がかかってきたり、自宅へ訪問されたりすることも。
それでもまだ無視し続けると、差押予告通知書が来ます。もうこの段階になると、分割納付や免除の相談なども原則受け付けてもらえず、期限までに一括で支払えない場合は、差し押さえが始まります。
差し押さえが始まると、給料口座が凍結されたり、車や家が没収されたり、とにかく未納額に達するまでは、お金になりそうなものをどんどん持って行かれることに。しかもこれは本人だけではなく、世帯主や配偶者の財産も対象です。本人の財産で足りなければ、家族にも迷惑をかけることになってしまうでしょう。
強制徴収は昔よりも厳しくなっている!
日本年金機構の発表によると、2018年4~9月の半年間の差し押さえ件数は6,000件を超えています。特に差し押さえの対象としているのは、2018年度の場合、「控除後所得額300万円以上で未納が7ヵ月以上ある方」でした。ある程度の収入があって、財産調査で預金があることも確認できて、未納額も大きい方ですね。
ただ、この基準は年々厳しくなっています。「今のところ年収も低いし大丈夫だろう」とたかをくくっていると、突然困ってしまうかもしれません。電話でも郵送でもいいので、できるだけ早めに年金事務所に連絡して対処してしまいましょう。
特別催告状の放置にはデメリットしかない
「将来しっかりもらえるかもわからないのに年金なんて払う気がしない」という方もいるかも知れませんね。でも、年金は義務なので本来「支払わない」という選択肢はありません。将来一切もらえなくても構わないと思っていたとしても、差し押さえを拒むことはできないのです。
役所からの通知を無視してしまうのは、いちばんの悪手です。急に自宅に人が訪ねてきて督促されたり、預金が封鎖されたり、そんな面倒なことになる前に、自分から年金事務所に連絡しましょう。ちょっと気が重いかも知れませんが、早めに相談すれば、未納にならないようにどう対処すべきか丁寧に教えてくれるはずですよ。
文・馬場愛梨(「貧困女子」脱出アドバイザー/ばばえりFP事務所代表)/fuelle
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