米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズ(NYSE:UBER)は先月の不発に終わったIPO以来、不安定な綱渡りをしている。
同株は取引価格よりも実際の価値が高いことを早急に示す必要がある。
しかしそれは成長鈍化、売上減、損失増の局面では簡単なことではない。
5月30日に発表されたウーバーの決算報告では、同社の収益化改善への道のりが長く険しいものであることが浮き彫りになった。
決算報告は概ね予想通りの結果ではあったが、激化する市場で収益を伸ばす余地はあまりなさそうだ。
同株は下げ相場を反映している。5月10日のIPO以来株価は3%ほど低下。上場3日後には10%以上急落していた。
31日には1.5%回復し40.41ドルで終値を迎えたが、時間外取引では0.5%安となった。
成長性鈍化
コア事業であるライドシェアとフードデリバリーの第1四半期(1-3月期)売上高は年次成長率10%の26億2000万ドルとなった。前年同時期に比べると大きく成長スピードが鈍化し、今後の下降トレンドが予想される。
コア事業の純利益成長率は2017年には125%だったが、2018年には39%まで低下している。
売上高から変動費用を差し引いた貢献利益率は1年前には18%だったが、今年の第1四半期ではマイナス4.5%となっている。
総受注額成長率も鈍化している。四半期総受注額は147億ドルで34%増となったが、前四半期には37%増となっていた。
月間アクティブユーザー数は9300万人で、2%増となった。なお、昨年同四半期には3%増、過去11四半期平均では14%増となっていた。
これらの軟調な数字とコスト増加が10億1000万円という最大規模の四半期損失額の原因となった。
爆発的な成長段階でこのような損失が出ることは珍しくないが、ウーバーの成長はすでに減速している。投資に値すると証明する確固たる材料を見つけるのは難しい。
ウーバーのネルソン・チャイCFOは先週、同社がプロモーションやマーケティングへの支出額を減らしコストを削減しようとしていると述べ、株価急落を食い止めようとしていた。
しかしこのコストカット目標はプレスリリースにおける同氏の発言と食い違っている。
同氏は「我々の投資は世界的なプラットフォーム拡大と長期的な製品、技術の差別化に集中している。世界的な市場ポジションを維持するためには投資を惜しまない」としていた。
確かに、ライドシェア事業におけるウーバーのポジションは確固たるものである。
フードデリバリーやロジスティクスに至るまで競合他社を上回るサービスを提供してきた同社は世界的に大きな市場シェアを獲得している。
同社は6大陸700箇所の大都市エリアで操業している。しかしながら成長が鈍化し株価下落の余地がある今、同株に投資するのは得策とは言えない。
総括
ウーバー株への投資はまだ避けるべきだろう。成長率の鈍化は、長期的な収益性確立にはまだ時間がかかることを示唆している。マクロ環境の後退と競争の激化を考慮して、ウーバーを買うには最適な時期ではないと結論付ける。(提供:Investing.comより)
著者:ハリス アンワル