Q 自己資金はどれくらいあればいいですか?
A 自己資金は300万円あればベスト
僕は最初のワンルーム物件を現金で買ってしまい、貯金が150万円まで減ってしまいました。転職したばかりでローンが引けなかったために仕方なかったのですが、本来は手持ち資金を確保しておくのはビジネスを拡大していくうえでかなり大切。ローンを組むときの頭金になることはもちろん、口座にそれだけの貯金を持っているというだけで信用となり、ローン自体を組みやすくなるからです。
最低限、準備していただきたい自己資金は300万円以上がベスト。自己資金を用意したうえでローンを積極的に活用しましょう。年収が年収が400?600万円の人は、政府系の日本政策金融公庫が一般的です。ノンバンク系も金利は高くなりますが、キャッシュフローがしっかり出る物件であれば、いざというときには頼りにしていいでしょう。年収700万円以上なら、静岡銀行などの地方銀行や信用金庫なども可能性が出てきますし、年収1,000万円以上であれば、メガバンクから好条件で融資してもらえる可能性も十分にあります。昨今の不動産投資業界のトラブルが原因でここ数年で少し難易度が上がってしまいましたが、個人属性が良い人であれば新設の法人(資産管理法人)に融資してもらえる可能性もあります。法人で不動産を所有して賃貸経営を始めることができると、金融機関の融資の上限が個人よりも大きく、規模拡大がしやすくなるというメリットもあります。
Q 空室リスクを下げるには、どうしたらいいですか?
A 管理会社とうまくおつきあいしよう
物件を購入したあとは、シンプルに満室経営だけを考えましょう。空室リスクを避けるために大切なことは、管理会社との関係性です。物件を自主管理されるオーナーさんは少数派で、管理会社にお任せするのが基本。しかし一般的に不動産投資家は倹約家が多く、管理会社にリフォーム代などを気持ちよく支払わないケースが見受けられます。「相場より安価で交渉しましょう」と指導する人もいますが、個人的には反対派です。「このオーナーさんとはつきあいやすい」と思ってもらい、ケチになりすぎない関係を築けると、空室を埋めてくれる優先順位が上がるからです。僕自身は、「あなたを信頼しているので、5万円以下の小規模修繕は自分に聞かずに実施してください」と伝えています。
また、管理会社に毎週、内見が何件入ったかを報告してもらうように依頼しています。内見の数自体が少ない場合は、内装や募集条件を見直したり、仲介業者へのインセンティブの増額を検討し、空室リスクを下げる工夫を凝らしています。
Q リフォームはどんな場合に考えるべきでしょうか?
A 「最低限のライン」と「付加価値をつける」の2種類のケースがあります
リフォームを実施するときのケースは2種類あります。「必要最低条件をクリアする」か、「付加価値をプラスする」かです。大半を占めるのは前者。最低限、入居者がストレスを感じない快適な空間になっていて、現状維持、現状復旧を空室になるたびに実施することが基本です。ただし、その基準は家賃によっても変わってきます。例えば、フローリングに少しの傷がついた場合、家賃が月10万円以上の物件であればリフォームしますが、安価な家賃ならばそのままにしておきます。費用を抑えて早めにリフォームを終わらせて、空室期間を短くしたい、という理由もあります。
レアケースではありますが、後者の「付加価値をプラス」したこともあります。ある2DKの部屋の入居者が決まらず苦戦したときに、そのエリアの人気物件をリサーチしたところ、1DKが人気だとわかりました。そこで、壁を取り払って2DKの間取りを1DKにリノベーションしたのです。それまでよりも10%程度高い家賃を設定しても、すぐに入居者が決まりました。
ただし、「付加価値をプラスする」リフォームは多額の費用がかかるため、本当にやるべきかどうかは検討したほうがいいというのが僕の考え方です。エリア内にあるほかの物件と差別化したいなどの場合に限ったほうがいいでしょう。
小林昌裕(こばやし・まさひろ)
副業アカデミー代表/レべクリ代表取締役
11982年、東京都生まれ。2009年にサラリーマンをしながら、不動産投資を始める。14年に退職し、現在は、20余りのキャッシュポイントを持ち、クライアントの収入の柱を増やす活動に尽力している。副業を教える学校「副業アカデミー」代表、明治大学リバティアカデミー講師。著書に、『ふがいない僕が年下の億万長者から教わった「勇気」と「お金」の法則』(朝日新聞出版)、最新刊『サラリーマン副業2.0』(PHPビジネス新書)などがある。(『THE21オンライン』2019年4月号より)
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