絶対に略せないのは「部下の育成」

管理職であれば、下から来る仕事もあるでしょう。部下の相談に乗ったり、指導したりするのは上司の仕事です。

とはいえ部下は何人もいるのですから、すべての部下に直接対応していたら、上司の仕事は増える一方です。

そこで重要なのが、組織の階層をうまく使うこと。例えばあなたが課長なら、自分がコントロールするのはすぐ下の課長代理や係長までとし、その人たちがさらに下の部下に対応する仕組みにします。

管理職の中には新入社員の仕事にまで、こと細かに口出しする人がいますが、それは入社3年目くらいの若い社員に任せればいいこと。1人の上司が組織の末端まで直に対応するのは、あまりに効率が悪すぎます。

このように、管理職の仕事を減らすには、自分の仕事を人に任せることが不可欠です。中には「任せられる部下がいない」と平気で言う上司がいますが、任せられるように部下を育成するのは管理職の責務です。

部下の育成は時間をかけてでも上司がやるべき仕事で、絶対に略してはいけません。

「任せられない部下」を「任せられる部下」に育てるには、仕事の状況を定期的に報告させるのが最も効果的です。私が上司に対してやっていたのと同じように、部下から定期的に情報を上げさせれば、仕事の遅れやミスの兆候があっても早めにフォローできます。

仕事を発注するときも、「この点に注意して進めるように」とアドバイスを添えれば、失敗も減って部下のレベルは確実に上がっていきます。

こうして時間をかけてでも部下が成長すれば、上司である自分も仕事を下に任せて、管理職にしかできない重要な仕事に集中できます。チーム全員がそれぞれの役割に応じた仕事に取り組めば、組織の生産性は一気に上がるはずです。