昨年度、日本M&Aセンターとの協業で、顕著なM&Aの実績を上げた銀行を表彰する「M&Aバンクオブザイヤー」の第7回表彰式が6月12日、都内のホテルで行われ、最高賞のバンクオブザイヤーには北陸銀行が選ばれた。同行のバンクオブザイヤー受賞は4回目。表彰式では自民党の石破茂議員が「地域創生を語る」と題して講演、「いつの時代も国を変えるのは都ではなく地方、官ではなく民間だ」などと述べたほか、消費増税や金融庁の金融審議会の市場ワーキンググループ(WG)が「30年間で約2000万円が必要」とした報告書についても触れた。

石破議員が地方創生の重要性を訴え

バンクオブザイヤーは、同社が事務局を務める全国金融M&A研究会と同時に実施されている。同会は全国の地銀によるM&Aの勉強会として2000年に設立された。バンクオブザイヤーでは、全国を7ブロックにわけ、各ブロックで昨年度、日本M&Aセンターとの協同実績が高かった7地銀が地域貢献大賞を授与される。その7行のなかで最も実績の大きかった1行がバンクオブザイヤーに選ばれる仕組みだ。

表彰式では冒頭、日本M&Aセンターの三宅卓社長があいさつ、同社が今年を「地域戦略元年」と位置付けて地方創生に注力している同社の方針などを述べた。

日本M&Aセンター,バンクオブザイヤー
日本M&Aセンター・三宅社長(画像=森口新太郎)

その後、石破議員が登壇、全国の地銀関係者の前で父から銀行への就職を勧められたエピソードを披露。10月に税率アップが予定されている消費税について「民間を含めいろいろな準備をしてきている。税率アップ前の駆け込み需要もある。予定通り今秋に10%に上げるべき」と述べた。

また昨今話題になっている金融庁・金融審議会の報告書について、「毎月5万円×12ヵ月×老後の30年を掛け算しただけ。政府はこれまでも『年金だけで老後の生活が安心ですよ』といったことはない。「年金100年安心プラン」は、年金の制度が(100年続く)サステナブルな仕組みだということ」などと話した。

さらには今後ますます強まる人口減少傾向について警鐘を鳴らし、クオリティーオブライフの重要性を指摘。日本の男性が家事をする時間がOECD加盟国で最低(最短)であること、その時間と2人目、3人目の子供を持つ比率がきれいに相関していると述べるなど、意識の変革を呼びかけた。

日本M&Aセンター,バンクオブザイヤー
石破議員(画像=森口新太郎)

最後に「今取り組んでいる地方創生は失敗すると国がつぶれるくらい重要。(地方の経営者が)息子さんや娘さんに『お前もう帰ってこなくていいよ』ではなく『この会社継いでくれよ』と言える環境にすべき。いつの時代も国を変えるのは都ではなく地方、官ではなく民間だ、などと述べた。

北陸銀行の麦野会長が謝辞

表彰式では地域貢献大賞(7行)のほか、ディールオブザイヤー、情報開発大賞(以上、各2行)、特別賞、事業承継・M&Aエキスパート協会賞(同各1行)が授与された。各行の代表が登壇、それぞれの課題や今後の抱負を述べた。

バンクオブザイヤーは4回目の受賞となった北陸銀行の麦野英順代表取締役会長は「二十数年、担当者が一人のところから始め、最初は成約も2件だった。(日本M&Aセンターとの)業務提携が実績向上の契機となり、昨年は27件の成約があった。ほかにも(M&A支援の)業者さんともお付き合いしているが情報の量の多さ、社内に専門家がいること、担当の熱意あるサポートが大変ありがたい」などと感謝を述べた。

日本M&Aセンター,バンクオブザイヤー
バンクオブザイヤーに輝いた北陸銀行の麦野会長(左から4人目)ほか(画像=森口新太郎)

バンクオブザイヤー以外の表彰行は次のとおり。

▼地域貢献大賞……岩手銀行(北海道・東北)、群馬銀行(関東)、北陸銀行(北陸・甲信越)、大垣共立銀行(東海)、滋賀銀行(近畿)、阿波銀行(中国・四国)、大分銀行(九州・沖縄)
▼ディールオブザイヤー……肥後銀行、名古屋銀行
▼情報開発大賞……北洋銀行、北陸銀行
▼特別賞……北越銀行
▼事業承継・M&Aエキスパート協会賞……十六銀行

(ZUU online編集部)