6月相場も半ばを迎えました。日経平均株価は5月に月間7.4%も下げましたが、6月の前半は反発気味の展開になっています。米国で金融緩和期待が強まり、同国の株価が上昇したためです。ただ、米中の通商摩擦問題が長期化する兆しをみせる一方、「逃亡犯条例」をめぐり、香港でデモ活動が激化するなど新たな波乱の芽も生じています。6月後半以降は、どのような相場展開になるのでしょうか。

今回の「日本株投資戦略」は再度6月の株主優待銘柄を取り上げたいと思います。株式市場の低迷は保有株式が値下がりしやすくなるという意味では歓迎されないことではありますが、株主優待や配当を享受しようとしている投資家にとっては買い場になる可能性もあります。

5/31(金)付の「日本株投資戦略」では、「30万円で買える好業績の6月株主優待銘柄はコチラ」と題して6月株主優待銘柄をご紹介しました。今回はご紹介する銘柄の条件を変更しましたが、基本的には投資家の関心が高い上に、投資初心者の方でも比較的投資しやすいとみられる銘柄について、多くご説明することを目的とし、10銘柄を抽出しています。

投資家に人気で、初心者の方も投資しやすい6月株主優待銘柄はコチラ!?

日本株投資戦略,銘柄,配当
(画像=PIXTA)

表1は以下の条件を満たす上場銘柄を、当社株主優待検索ページで「閲覧回数」の多い順に並べたものです。

(1)我が国の上場銘柄であること
(2)時価総額500億円以上の銘柄であること
(3)6月末に株主優待・配当の権利が確定する銘柄であること(6/20決算銘柄は除きます)
(4)四半期(累計)決算で営業損益が黒字を計上している銘柄であること
(5)通期で株主配当を計画している銘柄であること
(6)最低投資金額100万円未満で株主優待の権利を確保できる銘柄であること
(7)株主優待の権利確保に際し、継続保有期間等の条件が付いていないこと

我が国の上場銘柄について、決算月として多いのは3月になっていますが、それに続くのが12月、2月となっています。そうした事情を反映し、株主優待を実施する企業数を決算月ごとにみると、3月819社、12月171社、2月141社となっています。なお、多くの上場企業は期末に加え、第2四半期末(中間期末)にも、株主優待を実施するので、3月決算企業の第2四半期末に相当する9月に425社、12月決算企業の第2四半期末に相当する6月に109社と多くの企業が株主優待を実施します。

一見すると、6月の株主優待に注目することは、「季節的に中途半端ではないのか」というイメージがあります。しかし、12月決算銘柄の多くが、、第2四半期末の株主優待を実施するので、株主優待ファンの投資家の方にとっては、重要な月のひとつと考えられるのではないでしょうか。

今回の「日本株投資戦略」では、6月株主優待銘柄について、基本的には投資家の関心が高い銘柄をご紹介すべく、10銘柄を選んでみました。

ただ、株主優待や配当を「入り口」として、株式投資を検討される初心者の方も多いように思われます。また、株主優待や配当を重視した投資は基本的に、中長期投資に向いていると考えられます。したがって、株主優待の内容やその魅力といったことに加え、「本当に投資して、中長期スタンスで保有しても大丈夫なのか」という観点も重要ではないかと「日本株投資戦略」では考えています。その意味で、(2)の時価総額の条件は前回(5/31号)より厳しくし、投資初心者の方でも比較的投資しやすいとみられる銘柄が多くなるようにしています。

反面、足元の業績については、四半期決算での営業黒字を条件とした程度で、あまり厳しくしていません。複数銘柄への分散投資や、投資経験のある方であれば、つなぎ売り等のリスク回避手段を別途検討することも重要であると考えられます。

投資家に人気で、初心者の方も投資しやすい6月株主優待銘柄
(画像=SBI証券)

表1:投資家に人気で、初心者の方も投資しやすい6月株主優待銘柄はコチラ!?
コード / 銘柄 / 株価(6/13) / 年間1株配当金6月予想 / 年間1株配当金年間予想 / 最低投資単位(100株)での株主優待内容の概要
<2702> / 日本マクドナルドホールディングス / 4,920 / 0.00 / 30.00 / 優待食事券1冊
<3197> / すかいらーくホールディングス / 1,963 / 9.00 / 19.00 / 3,000円の割引カード
<2914> / 日本たばこ産業 / 2,503.5 / 77.00 / 154.00 / 1,000円相当の詰合せ
<8179> / ロイヤルホールディングス / 2,803 / 0.00 / 29.00 / 優待食事券1枚
<3405> / クラレ / 1,300 / 20.00 / 42.00 / カレンダー
<5959> / 岡部 / 976 / 14.00 / 28.00 / クオカード500円相当
<3085> / アークランドサービスホールディングス / 1,886 / 12.00 / 24.00 / 食事券550円分×2枚
<3950> / ザ・パック / 3,055 / 24.00 / 50.00 / 500円の図書カード
<3097> / 物語コーポレーション(6月決算) / 8,580 / 45.00 / 90.00 / 優待食事券またはお米
<4631> / DIC / 2,815 / 60.00 / 125.00 / オリジナルカレンダー

※会社公表データ、およびBloombergデータを用いてSBI証券が作成。市場予想はBloombergが集計した市場コンセンサス。物語コーポレーションのみ6月決算銘柄であり、「6月予想」は期末配当の会社予想。その他の銘柄は12月決算銘柄であり、「6月予想」は中間期末配当の会社予想。「最低投資単位での株主優待内容の概要」は権利付最終日までに100株を保有した場合の株主優待内容の概要を示すもので、そのすべてを示すものではありません。株主優待内容の詳細は各社発表データをご確認ください。

おもな6月優待銘柄の投資ポイントと優待内容

日本マクドナルドホールディングス(2702)は国内に2,896店(直営908店、フランチャイズ1,988店)を展開するハンバーガー・チェーンです。2019年12月期は売上高2,825億円(前期比3.8%増)、営業利益276億円(同10.2%増)を計画。第1四半期は前年同期比で売上高2.7%増、営業利益5.6%減となっています。

6月末(権利付最終日は6/25)、12月末の株主に対し、「優待食事券」が100~299株保有で1冊、300~499株保有で3冊、500株以上保有で5冊贈呈されることになります。なお、「優待食事券」1冊には、バーガー類1品およびサイドメニュー1品、ドリンク1品と交換できる「お引換券」が6枚付いています。

1株当たり配当は6月末0円、12月末30円、通期で合計30円の予定で、予想配当利回り(6/13)は0.6%と計算されます。

図1:日本マクドナルドホールディングス(2702)・日足

図1:日本マクドナルドホールディングス(2702)・日足
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

すかいらーくホールディングス(3197)は全国に展開する日本最大の外食チェーンです。5月末時点で合計3,225店(ガスト1,352店、バーミヤン332店、ジョナサン296店、海外57店他)を展開しています。2019年12月期は売上高3,700億円(前期比1.0%増)、営業利益220億円(同3.8%減)を計画。第1四半期は前年同期比で売上高4.2%増、営業利益1.2%減となっています。

6月末(権利付最終日は6/25)の株主に対し、「株主様ご優待カード」が100~299株保有で3,000円相当、300~499株保有で9,000円相当、500~999株保有で15,000円相当、1,000株以上保有で33,000円相当贈呈されます。

また、12月末の株主に対しては、「株主様ご優待カード」が100~299株保有で3,000円相当、300~499株保有で11,000円相当、500~999株保有で18,000円相当、1,000株以上保有で36,000円相当贈呈されます。

1株当たり配当は6月末9円、12月末10円、通期で合計19円の予定で、予想配当利回り(6/13)は1.0%と計算されます。

図2:すかいらーくホールディングス(3197)・日足

図2:すかいらーくホールディングス(3197)・日足
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

日本たばこ産業(2914)の売上構成比(2019年度第1四半期・消去前・「その他」除く)は国内たばこ28.5%、海外たばこ60.0%、医薬4%、加工食品7.0%となっています。その社名から受けるイメージと異なり、その収益は欧州等の海外比率が高くなっています。2019年12月期は売上高2兆2,000億円(前期比0.7%減)、営業利益5,400億円(同4.4%減)を計画。第1四半期は前年同期比で売上高1.9%減、営業利益24.4%増となっています。

6月末(権利付最終日は6/25)の株主に対し、自社および自社グループ会社商品(食品等)が贈呈されます。100株以上保有の株主には1,000円相当、200株以上保有で2,000円相当、1,000株以上で3,000円相当、2,000株以上で6,000円相当の商品が贈呈されます。ただ、2019年7月以降、株主優待は12月のみ、1年以上継続保有の株主のみが対象になります。

1株当たり配当は6月末77円、12月末77円、通期で合計154円の予定で、予想配当利回り(6/13)は6.2%と計算されます。予想配当利回りの高さは、上場企業の中で上位と言えそうです。

図3:日本たばこ産業(2914)・日足

図3:日本たばこ産業(2914)・日足
(画像=当社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

ロイヤルホールディングス(8179)の株主優待は、6月末(権利付最終日は6/25)、12月末の株主に対し、「優待食事券」(500円)が100株以上保有で1枚、500株以上で10枚、1,000株以上で24枚贈呈されます。1株配当は6月末に0円、12月末に29円が予定されています。

クラレ(3405)は6月末の株主で希望者に限り、オリジナルカレンダーを贈呈します。12月末に1,000株以上保有する株主に対しては3,000円相当のオリジナルカタログギフト(3年以上継続保有の場合は10,000円相当)を贈呈する計画です。

物語コーポレーション(3097)は焼肉、ラーメン、お好み焼きなど外食店490店舗を展開しています。6月末(権利付最終日は6/25)、12月末の株主に対し、100株以上保有で、自社店舗で使用可能な2,500円相当の優待食事券(または2.5㎏のお米)が贈呈されます。300株以上保有では5,000円相当(同5㎏相当)、600株以上保有では10,000円相当(同10㎏相当)、900株以上保有では15,000円相当(同15㎏相当)が贈呈されます。

6月決算銘柄です。予想1株配当は6月期末配当として45円が予定されています。次期は未定ですが、仮に昨年と同じであれば12月末に45円の中間配当が想定されることになります。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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