職場の医師とゴールイン、寿退社で家庭に入る……そんな同僚をうらやましく思ったことはありませんか?専業主婦は、上司や患者さんとの人間関係に悩まされることはなく、夜勤や残業もありません。さらにお金の面から見ても、優遇されている部分が多くあります。年金制度を中心に、専業主婦と働く独身者との違いを見てみましょう。
専業主婦は年金制度にタダ乗りしていると批判する人も
夫の扶養に入った主婦は、第3号被保険者となるため国民年金保険料を納める必要がありません。しかし、将来的には国民年金を受け取ることができます。保険料という支出がゼロでありながら、公的年金という収入は手に入るのです。年金の仕組みはどのようになっているのでしょうか。65歳以上になったとき、国民年金を受給するためには20~60歳までの一定期間、年金保険料を納めなければなりません。
受給可能な年金の額は、保険料を納めた期間によって変わります。2019年度の老齢基礎年金の年額は満額で78万100円(月額で約6万5,000円)です。これは40年間しっかり年金保険料を納めた人の場合です。自営業者としてしっかり払い続けるか、会社や役所に勤めて厚生年金に加入していなければ基本的に満額はもらえません。
仕事をしていなかったり、学生時代の分を払っていなかったりするなど保険料を納めていない期間があると、その分、将来受け取る年金額は少なくなります。しかし、このルールには例外があります。家族が厚生年金に加入していれば、その人の扶養に入ることができ、その期間は国民年金保険料を納めたのと同じ扱いを受けることになるのです。
妻が扶養に入ることで、夫の厚生年金保険料は変わりません。つまり、妻の国民年金の保険料が無料になるのです。もし20歳で結婚して専業主婦になり、60歳まで扶養に入り続けると、年金保険料を一切払わず、65歳から毎年約80万円を一生涯もらえることになります。そのため、自分で働き保険料を納めている人と比べて不公平だと考える人も少なくありません。
夫が亡くなっても手厚い給付がある
「夫の扶養に入る」ということは、パートナーの収入を頼るということです。では、もしパートナーに万が一のことがあったら、専業主婦は路頭に迷うことになってしまうのでしょうか?その場合、実際は社会保障による手厚い給付があります。大黒柱が亡くなったとき、残された家族が困窮しないようにするため、遺族年金という制度があるのです。
老後の年金に国民年金と厚生年金の2種類があるように、遺族年金にも遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は18歳以下の子供がいる家庭を対象にしたもので、老齢年金の満額に加えて、子供の人数に見合った金額が支給されます。例えば、子供一人の場合は100万4,600円(2019年度の場合。年金満額78万100円+子供一人分の加算額22万4,500円)です。
遺族厚生年金は、会社員や公務員の夫が亡くなったとき、妻に支給されます。支給額は亡くなった本人がもらうはずだった(または、もらっていた)厚生年金の4分の3です。厚生年金の額は、給料と加入していた期間によって変わるのですが、遺族厚生年金の場合は最低でも25年分もらえます。夫が若くして亡くなった場合も、妻はそれなりの金額を受け取れるのです。
他にも状況によって寡婦年金、中高齢寡婦加算金などが加算されることもあります。専業主婦は夫にもしものことがあっても生活に困らないよう、制度に手厚く守られているといえます。
稼いでいるからこそ自由が手に入る
では、自分自身では稼がず、夫を支えるライフスタイルが一番よいのでしょうか。必ずしもそうとはいえません。自分で稼ぐ人には、人生をデザインする自由があります。例えば稼いだお金を元手に投資を行い、そこから国民年金以上の所得を得ることもできます。本業から独立しており、退職した後も引き続き得られる収入です。
専業主婦の場合、始めるにあたってまず夫の理解を得なければならなくなるでしょう。特に、不動産投資を行うとしたら、夫の名義でローンを組まなければなりません。なぜなら、収入がない主婦は審査に通ることが難しいからです。投資に限らず、自分で稼いでいるからこそ誰の許可を得ることもなくお金を使うことができるのでしょう。この自由には、とても大きな価値があるのではないでしょうか。
格差もなんのその、働く女性は自分で人生を切り開く
会社員や公務員を夫にもつ専業主婦には、国民年金や遺族年金などの手厚い社会保障があります。一方、自分自身で稼ぐことで得られるものは、人生を自分で決める自由です。年金にとらわれない収入のつくりかたを考えてみるのもよいのではないでしょうか。(提供:Medi Life)
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