4 早めに「資産運用の失敗」を経験すること

私が自己資金で初めて投資をしたのは「公社債投信」でした。勤めていた会社の転換社債に100万円を投資したのですが、これが失敗。市場金利が7%くらいの時に転換社債の金利は2%という低さで、結局、満期償還まで塩漬け。これはいわゆる「仕組債」という、一般の投資家が手を出すべきではなかったものなのですが、当時はそれが仕組債だということを理解していませんでした。

また、ITバブルの頃、短期で大幅に値上がりした携帯電話関係の会社の株を、まだまだ上がると思って持ち続けた結果、急激に下がってしまい、1000万円以上の利益を棒に振ったこともあります。後から考えてみれば、その株価は会社の利益に比べ高すぎたのですが、当時は世間の空気に流されてしまっていたのです。

ただ、これらも結局は良い経験になりました。投資については、頭で理解するだけでなく、とにかく行動してみることです。そうしないと、実際に投資をするに当たり、自分の気持ちがどう変わるのかがわかりません。

そもそも投資においては、どんな人でも部分的に損失を出すことはあります。だからこそ失敗した際にどうするかが重要。自分の気持ちをコントロールし、なぜそうなったのか原因を考え、同じ失敗を繰り返さないようにする。実際に行動に移し、継続して学んでいくことこそが、お金に困らない人になる近道です。

5 セミナーや金融機関等を頼りすぎないこと

20年前はネット銀行もネット証券もなかったので、私も金融機関の店舗に行って金融商品のことを質問したりしていました。今は資産運用について調べようと思えば、情報はいくらでも手に入ります。むしろ、情報が多すぎて何を選択するのかが難しいことが問題です。

そこで重要なのが、様々な情報を「共通点」と「相違点」で見ていくこと。たとえば、同じ金融商品の話題でも、新聞や雑誌によってまったく評価が違うことがありますが、その中にも共通する事実があるはず。それについては正しい可能性が高いと言えます。

一方、明らかに他と違う情報があった場合は要注意です。特にいわゆる「うまい話」は、そのメディアの独自の視点であることもありますが、裏に怪しい儲け話や高額セミナーの勧誘が潜んでいるケースも。特に有料・無料問わずセミナーには要注意です。私もいろいろなものに参加しましたが、特定の商品の販売目的やバックエンドに高額商品が隠れていることがほとんどです。高齢者のお金を考えるに当たり、実はこれが一番難しいことかもしれません。