金融庁のウェブサイトには「タイプ別資産運用スタイル」というページがあり、投資目的に応じて5つの資産運用スタイルを提案している。金融庁が提示する「タイプ別資産運用スタイル」とはどういったものなのだろうか。

タイプ別で見るおすすめの資産運用スタイルとは?

金融庁,資産運用,スタイル
(写真=Song_about_summer/Shutterstock.com)

タイプ1:分かりやすい商品で投資を始めたい

1つ目は、投資初心者であるため、「シンプルで分かりやすい仕組みの商品で投資をスタートしたい」というタイプ。金融庁の「資産運用スタイル」では、そのモデルを、「まだ20代と若いが漠然と将来のために資産を増やしたいと考え、投資を始めようとしている人」としている。

このタイプの場合、最初から大きな資金を運用するのではなく、シンプルな投資商品で、少額からコツコツと資産を増やしていくことになる。そこでおすすめなのが「インデックス運用」の商品だ。インデックス運用とは、投資商品の基準価額が日経平均株価やTOPIX、S&P500などのインデックス(指数)と同じような値動きをする運用を目指す、シンプルな投資手法である。一般的にインデックスファンドは「信託報酬」が低く抑えられたものが多く、長期間にわたりコツコツと資産を増やすのに適した商品といえる。

タイプ2:リスクを抑えながら老後に備えたい

2つ目が、老後前に可能な限りリスクを抑えつつも、老後に備えてしっかりと資産を増やしたいと考えているタイプである。

このようなタイプの人におすすめなのが「バランス型運用」の金融商品だ。バランス型運用は、値動きが異なる複数の投資商品に分散投資することで、リスクを限定し、安定的なパフォーマンスを目指す手法だ。例えば、国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)などをまとめて保有する投資信託であれば、それぞれの投資対象が異なる値動きをするので、リスクを抑えた運用が期待できる。

タイプ3:高いリターンも狙いたい

3つ目が、多少リスクをとっても、大きなリターンを得たいと考えるタイプ。例えば、まだ所帯を持たない大学生や若い社会人が、余剰資金を元手に投資をするようなケースで、リスク許容度が高い。このようなタイプには、「国内外の株式で十分な値上がり益を狙えるファンド」への投資が向いているだろう。ハイリスクながら、ハイリターンが狙える株式ファンドに積極的に投資したい。

タイプ4:子どもの将来の教育費を貯めたい

4つ目が、将来必要になる「子どもの教育費」などのために蓄財するという目標が明確にあるタイプだ。30代で子どもがまだ小さいが「今後のことを考えると今からでも準備しておきたい」という人は少なくないだろう。

このようなタイプの場合、「ターゲット・デート・ファンド」での運用をおすすめする。ターゲット・デート・ファンドは、ターゲット・イヤー・ファンドとも呼ばれ、事前にターゲットとする“年”を定めて、ターゲット・イヤーが近づくにつれ、組み入れ対象商品を変更する投資信託のことだ。一般的にはターゲット・イヤーが近づくにつれて、リスクを抑えるべく、債券の比率が高まる設定になっている投資信託が多い。今回のケースであれば、子どもの大学入学の年をターゲット・デート(目標年次)にしたファンドを選択するのが良いであろう。

タイプ5:一定の金額を低いリスクで堅実に貯めたい

最後は、「低いリスクで堅実に貯めていきたい」と考えるタイプだ。「これからマイホームを建てたい」など、近い将来お金を使う予定がすでに決まっていると、大きなリスクのある投資には挑戦しづらい。

このタイプは、公社債の比率が高い投資信託を選ぶのがよいだろう。公社債とは、国や地方公共団体等の公的な組織や、会社が発行する債券のこと。債券の場合、発行体は返済義務があるので元本が保証されていない株式よりも安全性が高い。ただし、発行体の破綻や倒産リスクは存在する。運用に株式を一切組み入れない「公社債投資信託」もあるのでチェックしてみよう。

資産運用のタイプがわかったら、投資の運用益が非課税となる個人投資家向けの税制優遇制度「NISA」の活用も積極的に検討していきたい。NISAを利用することで、より効率的な資産形成が期待できるだろう。