前日については、米10年債利回りが1.97%台まで低下したことを受け、ドル円は下値を拡大する動きになりました。背景としては、「緊急事態のため、ペンス米副大統領はイベントをキャンセルしホワイトハウスに戻った」「プーチン露大統領が国防相と緊急会談」などのヘッドラインが思惑的な売りを誘ったことが考えられます。プーチン露大統領と国防相の緊急会談については、ロシアのタス通信から「セヴェロモルスクの14名が死亡した潜水艦事故についての調査を指示したもの」との会談理由が伝わると一旦落ち着きを取り戻しましたが、ペンス米副大統領については続報がなく、ホワイトハウスに戻った理由が明確になっていません。一部では、明日の独立記念日に向けて何かあるのではないかとの懸念が意識されており、ドルの上値を抑えるかたちになっています。

また、カーニー英中銀総裁の発言によりポンドの上値が重くなっています。同総裁が「不確実性が短期的な政策対応を正当化する可能性」と発言したことで、緩和再開の思惑が浮上しており、英長期金利が大幅に低下したことでポンド売りが強まりました。ポンドドルでは、1.2640ドル付近から1.2600ドルを割り込み、一時1.2585ドルまで下落しました。ユーロドルについては、欧州タイムにより、ECB政策担当者が「7月に早急に利下げする理由はない」との発言をしたとの報道でユーロドルは一時1.1320ドル付近までユーロ買いが進みましたが、買い意欲は限定的であり、その後は1.1280ドル付近まで下落しています。

本日の東京時間に、トランプ大統領がFRB理事にクリストファー・ウォーラー氏とジュディー・シェルトン氏を指名したと報じられました。この2名については、ハト派として非常に有名であり、今後のFRBの方針がハト派に偏るのではないかとの見方が僅かにドル売りを誘いました。昨日のドル売りの材料となった米10年債利回りが、時間外取引でさらに低下していることもあり、ドル円は107.50円台まで下落しています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

昨日のEU臨時首脳会談で、次期ECB総裁にクリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事を指名しました。ラガルド氏の金融政策に関するスタンスはあまり知られていませんが、もう一人の候補であった、バイトマン独連銀総裁が非常にタカ派な人物であったこともあり、現在の政策が180度変わってしまうというリスクが避けられたという点は重要だったかもしれません。今回の人事は、ギリシャ等のユーロ圏の危機に積極的に対応してきた同氏が総裁になることにより、ユーロにとってはプラスに作用するのではないでしょうか。

ポンドについては、カーニー英中銀総裁が短期的な政策変更の可能性を示唆したことが今後も意識されそうです。世界的な貿易戦争に加え、英国の合意なきEU離脱を背景とした英経済のリスクが増大していることが背景にあるようですが、もともとこの件については楽観的な考えを示していたこともあり、BOEの方針転換のみならず、ブレグジットにおいても一層の懸念材料として意識されてくるかもしれません。保守党党首選の動向も気になるところですが、ここにきてBOEのスタンス次第では早期のポンド急落の可能性が出てきたと考えられます。

ドル円のレジスタンスラインは109円から108円へと移行か!?

明日7/4は米国の独立記念日となるため、ポジション手仕舞の動きが強まりそうなため、ドル円の上値は重くなることが想定されます。また、ファンダメンタルズでは、ペンス米副大統領が急遽ホワイトハウスに戻った理由の詳細がいまだに不明のままということもあり、積極的にドルを買い進める動きは抑制されるのではないでしょうか。週末のG20サミットへのご祝儀相場も一段落したこともあり、今度は109円でなく108円がレジスタンスラインとして意識されるかもしれません。108.50円でのドル円ショート、損切りは109.00円上抜け、利食いについては、107.10円に設定したいと思います。

海外時間からの流れ

RBAは、市場の予想通り政策金利を1.25%から1.00%に0.25%引き下げました。注目されていたロウ・豪中銀(RBA)総裁の会見では、今回の利下げについては、米中貿易戦争による経済のダウンサイド・リスクが原因と説明しました。また、さらなる利下げについても「必要に応じ、金利を再び調整する用意がある」との発言を行っていることから、次回会合の11月に追加利下げの可能性があるため、豪ドルについては、もう一段下値を拡大するかもしれません。

今日の予定

本日は、トルコ・6月消費者物価指数、英・6月サービス業PMI、米・6月ADP民間雇用者数、米・新規失業保険申請件数、米・5月貿易収支、米・6月ISM非製造業景況指数、米・5月耐久財受注(確報値)などの経済指標が予定されています。また、要人発言としてノボトニー・オーストリア中銀総裁、カンリフ・英中銀(BOE)副総裁、ブロードベンド・英中銀副総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。