前日については、ADP雇用者数が14.0万人増の予想に対して10.2万人増の結果となり、発表直後はドル売りが強まる場面もありましたが、非常に弱い数字をはじき出した5月の数字よりは改善したことで、下値は限定的になりました。またNYダウ、ナスダック総合指数は続伸し、両指数がともに史上最高値を更新したこともあり、ドル円は買い戻しの動きが強まりましたが、本日4日が独立記念日ということもあり、積極的な動きは控えられ、NY時間後半は小動きに終始する展開となりました。本日は米国が祝日となることから、東京時間より様子見ムードが強まる公算です。

特段材料視こそされませんでしたが、トランプ大統領が「中国とヨーロッパは米国と競争するためにシステムにお金を注ぎ込み、大きな為替操作ゲームに興じている。我々も同じことをするべきだ。さもなければ他国が何年も前からゲームを続けるのを座って礼儀正しく眺めている間抜けであり続けることになる」とツイートしました。トランプ大統領が通貨の水準に言及し始めていることもあり、参議院選挙後の日米通商交渉へのリスク要因となりそうです。

ユーロについては、これまでの動きを覆し、欧州委員会がイタリアに対する過剰財政赤字是正手続き(EDP)の発動を見送りました。一連の動きにより、欧州株が大きく上昇したことでユーロ買いが強まり、ユーロドルは一時1.1310ドル付近まで上値を拡大しました。その後は1.1270ドル台まで下落する場面もありましたが、その後は再び1.1300ドル付近まで値を戻しています。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日は、米国が独立記念日で祝日となるため、終日値動きが限定的になりそうです。また、明日は米雇用統計が控えていることも、値幅を狭める材料として捉えられそうです。昨日の東京時間に何度も107.50円下抜けを試したものの、結局反発したことを踏まえると、独立記念日である本日については、108円の心理的レジスタンスと107.50円のサポートの中での推移に終始するのではないでしょうか。

気になる点としては、やはりトランプ大統領が通貨安について敏感になっていることでしょうか。昨日のツイートの内容もそうですが、恐らく日本に対しても不満を持っているのは確かでしょう。参議院選挙が終わるまでは、日本に対しての言及を控えているようですが、下交渉で為替条項を取り入れること、または円安誘導を行わないことなどが議論されているのではとの思惑もあるため、積極的な円安は難しいかもしれません。G20サミット前に日米安保問題を言及している点を見ても、日本に対して不満がないということはないものと思われます。

108円を上抜けるまでは、目線は下向きでよさそうだ

本日7/4は米国の独立記念日となるため、値動きは限定的になりそうです。上限108.00円、下限107.50円を抜けるは困難だと考えられるため、本日は基本的には様子見です。108.50円でのドル円ショート、損切りは109.00円上抜け、利食いについては、107.10円での設定です。

海外時間からの流れ

混迷を極めた人事ですが、臨時EU首脳会議にて今年10月で任期満了となるドラギECB総裁の後任に、IMFのラガルド専務理事を指名することで決定しました。ラガルド氏がドラギ総裁のハト派政策を踏襲するとの見方が広がり、ユーロについては安心感が広がっています。タカ派であるバイトマン独連銀総裁が指名されなかったことは、現状においてはユーロにとってポジティブであると捉えられている模様です。

今日の予定

本日は、ユーロ圏・5月小売売上高などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。