前日については、米国が独立記念日ということもあり、終日値動きに乏しい一日となりました。その中でも、底堅い動きを見せているのが豪ドルになります。5/18に行われた総選挙で想定外の勝利を収めた与党・自由党が掲げた公約が大規模減税(1,580億豪ドル程度)です。この法案の可決に必要な上院票が集まったことが報道されており、この減税による景気刺激策が豪ドルにとってプラスに働いていると考えられます。政府主導の減税は、RBA(豪準備銀行)にもプラスに作用しています。ロウ・RBA総裁が利下げの限界について言及していたこともあり、RBAが政府に一番やって欲しい行動を、政府が主導して行っています。国内のみならず国外からもこの減税は評価されており、結果として豪ドルが底堅い動きになっているものと思われます。

EU臨時首脳会議で、ドラギECB総裁の後任としてラガルドIMF専務理事が指名されました。市場の思惑通り、ハト派スタンスを踏襲するものと思われますが、デギンドスECB副総裁は、スペインメディアとのインタビューにて、「景気減速の対応やインフレ目標達成を念頭において、あらゆる金融政策の手段を検討中である」と発言し、レーン・新チーフエコノミスト(フィンランド中銀総裁)も、ドイツメディアとのインタビューで、「ユーロ圏の景気減速はもはや一次的なものではなく、追加の金融刺激策が必要である」と発言しています。ドラギECB総裁がECB年次フォーラム演説で、予想以上にハト派的なコメントが目立ったため、早期利下げ観測が強まっていますが、順当にいけば7月にECBがフォワードガイダンスを変更、9月に超過準備の階層化を導入せずに10bpの利下げを行うものと思われます。その際は、既に織り込まれているものと思われますが、ユーロが下値を拡大する動きを見せそうです。

今後の見通し

FXプライム,市況解説
(画像=PIXTA)

本日の注目は、やはり米雇用統計に絞られると思われます。前日が米独立記念日であったこともあり、既にポジション調整が終わっていることが想定されるため、雇用統計までは基本的には様子見ムードが強まりそうです。今月の非農業部門雇用者数は16.0万人増と前回5月の7.5万人増から大きく改善する予想です。前回は非農業部門雇用者数、平均時給共に予想を下回り、結果として米長期金利が低下し、ドル売りが発表直後は強まりました。今回の雇用統計では、さすがに前回値よりは改善すると思われますが、例え市場予想より悪化しても、前回のようにNYダウが上昇し、その後は円売りでドル円反発という動きになりそうなため、あくまで下値は限定的になるのではないでしょうか。

英国の保守党党首選では、依然としてボリス・ジョンソン前外相がリードしているものの、ハント外相は予想を上回る支持を獲得する見通しになっています。保守党党首選の結果は7/23に明らかになります。「合意なき離脱」の可能性は依然として高くはないというのが市場コンセンサスではありますが、「英国が合意なき離脱をする可能性は百万分の一だ」と発言しているボリス・ジョンソン前外相が、「10月31日にEUを離脱する準備を整えていなくてはならない。どういうことがあろうと、必死にそうした努力をする。」と述べており、ボリス・ジョンソン前外相が新党首となれば、やはりファーストアクションはポンド売りになると思われます。

108円を上抜けるまでは、目線は下向きでよさそうだ

本日は雇用統計を控え、米国の独立記念日の翌日となるため、NY時間までは限定的な値動きになりそうです。上限108.00円、下限107.50円を抜けるは困難だと考えられるため、108.50円でのドル円ショートについては、ポジション保持のままイベントを迎えたいと思います。損切りは109.00円上抜け、利食いについては、107.10円での設定です。

海外時間からの流れ

NATO同盟国が強い懸念を表明しているロシア製地対空ミサイル(S400)について、カリン・トルコ大統領報道官は「S400は間もなく到着し、稼動させる」と発言しているものの、エルドアン大統領が今回のS400の導入について米国からの制裁はないものと考えている旨の発言をしていることから、市場の反応は限定的でした。ただ、新たにペスコブ露大統領報道官から「シリアに関する露・トルコ・イランでの3カ国サミットをトルコで8月中旬に開催する」との報道があったことから、会談の内容次第ではマーケットが動意づく可能性がありそうです。

今日の予定

本日は、独・5月製造業受注、米雇用統計、加雇用統計などの経済指標が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

FXプライムbyGMO情報分析チーム
為替のみならず、株式、商品相場の経験者が多角的な目線でマーケットを分析します。執筆者は営業推進部マーケッツグループ長、稲井有紀、グループ長代行、崔 敏樹。