「法的に有効な遺言書を作成すれば、相続トラブル防止になる」といった法律の専門家からのアドバイスも目立ちます。しかし、現実はそう甘くはないようです。せっかく遺言書を作成しても、「その内容がもとでまたトラブルになる」というケースも少なくありません。遺言トラブルを回避するためには、被相続人と相続人で相続内容を共有したうえで遺言書を作成することも意識したいところです。

関係者全員で相続内容を共有しておけば揉めにくい

お盆帰省,相続対策
(写真=PIXTA)

遺言書を作ったのにも関わらず「遺産相続争い」に発展するケースはどんなものがあるのでしょうか。例えば、亡くなった後、いきなり遺言書の内容を見せられて共同相続人たちが「そんな内容は聞いてない」という反応になることが想定されます。これを回避するためには、生前に相続人全員で内容を共有しながら遺言書を作成するのが賢明です。

労力はかかりますが、相続トラブルに比べたらリスクとしては低くなります。もちろん、「遺言書の内容を相続時まであえて秘密にしたい」というケースもあるでしょう。そうでない場合は、トラブルリスクを軽減することを重視して内容を共有したいものです。

前段階として、まずは他の相続人に根回しを

相続内容を共有する場としては、親族が集まることの多いお盆時期が絶好の機会です。ただし、いきなり「相続のことを話し合おう」と切り出しても、親族に引かれてしまう可能性は高いでしょう。そこで、必要になるのが根回しです。具体的には、事前に会ったり電話で打ち合わせをしたりするなどして準備しておくことが大切になります。

これを行うことで、当事者同士が集合したときに遺言書の作成について話し合う段取りを付けておけばスムーズに事が運びやすくなるでしょう。根回しの方法はさまざまですが、一例としては各自の希望を確認しあいながら大枠を作ったうえで、被相続人との話し合いに臨むとスムーズかもしれません。長男が実家を相続したら、次男以下は現金中心に相続するといった具合です。

また、特別受益があれば、それを考慮した話し合いが必要なシーンも出てくるでしょう。たとえば、被相続人から遺贈を受けたり、贈与を受けたりした兄とこれらを受けていない弟がいる場合、同じ相続分となってしまえば不公平です。そこで民法では、特別受益分(贈与や遺贈分)を相続財産に持ち戻して計算し、各相続人の相続分を算定できると定めています。具体的には「相続人のうち一部が大学の学費を出してもらった」「結婚式の費用を援助された」などのケースがあてはまると考えられます。

被相続人との話し合いでは本人の意思を尊重

実際の被相続人との話し合いで大事なのは、財産の全容を確認することです。なぜなら、「予想外に財産があった」「逆に思ったほどなかった」「負債を抱えていた」など想定外のケースがあるからです。全容を確認したら、次に被相続人となる方の希望を聞いてみましょう。本人の希望と根回しのときに話し合ったプランに相違がある場合は、本人案を尊重しながら調整すると、対立が避けやすくなります。

とはいうものの、兄弟姉妹を除く相続人には、遺留分という一定割合の相続分があり、遺留分が確保されていない場合には、遺言の遺留分侵害部分を覆すことができるため、遺言作成にあたって留意が必要です。

とくに希望がないようなら、事前に話し合ったプランをベースにすれば問題はないでしょう。ただし、1回で結論を出せない場合は、次回は正月やゴールデンウィークに集まって話し合おうなどと決めておけばスムーズです。

話し合いが終わったら法的に効力のある遺言書作成を

話し合いがまとまったら、次は遺言書の作成です。ここで大事なのは、法的に効力のある遺言書を作成することです。一般的な選択としては、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。

「自筆証書遺言」は、被相続人が自筆で全文書いたもので(財産目録はPC作成可に法改正)、ある程度の自由度があります。ただし、手軽に作成しやすい一方、記載不備により無効になったり、紛失や改ざんのリスクがあったりします。

遺言書を確実に法的な効力を持たせたいのであれば、費用はかかりますが「公正証書遺言」がおすすめです。これは2名の立会証人のもと、公証人に内容を伝え、作成していくものです。全国に約300カ所ある公証役場でつくることができます。公証事務の専門家である公証人が介在することで無効になるリスクがなくなります。

遺言書の作成は、遺族が無用な相続争いをしないための大事な「終活」の一つです。故人の意志に反しないよう、理想的かつ、スムーズな相続になるよう準備をしておきましょう。(提供:Wealth Lounge

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